オスプレイ訓練に、本土紙の関心が薄すぎないか
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.2.11
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  宜野湾市で、またもボトル落下事故
  米軍普天間飛行場から離陸した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが2月5日午後、 滑走路南西側の基地外の宜野湾市民間地に個人用水入りボトルを落下させていた。沖縄県紙の報道で知ったが、本土紙に見当たらないのは相変わらずだ。 幸い人身への被害はなかったものの、沖縄だけの問題ではない事故続発である。
  オスプレイからの落下物事故は、1月17日に米カリフォルニア州サンディエゴで発生したばかり。 自動車修理店の屋根や車6台に被害を出し、大惨事となるところだった。2011年にはアフガニスタンで乗員が機体から転落し、死亡している。 飛行中、荷物搭載口を開放していることが大半で、今回の事故もそこから落下したようだ。 積載物がこうも簡単に落下するのは、機体や飛行形態に構造的な欠陥があるに違いない。

  事故を公表しなかった沖縄防衛局
  沖縄県民が日々、事故への不安を募らせているというのに、沖縄防衛局は事故発生当日に米軍から情報を受けていたのに公表しなかった。
  琉球新報2月8日付社説は、「2月2日に来県した安倍晋三首相は、仲井真弘多知事に 『住民生活への影響や不安の払拭に意を尽くしたい』 と述べたが、 では今回の防衛局の対応は何なのか。同局から連絡を受けた県と宜野湾市も6日まで公表しなかった。 地元の自治体が事故の情報開示に消極姿勢では配備反対の説得力を欠く。 空軍のCV22と合わせたオスプレイの墜落などの重大事故は1991年からに9件起きている。 安倍首相は今こそ、オスプレイ配備撤回と普天間飛行場の即時閉鎖を決断する時だ。 日米首脳会談でオバマ大統領に 『県民の生命と安全を守る』 ときっぱり伝えてもらいたい」 と、厳しく迫っている。

  本土の県議会で、配備に異議を唱えたのは5県
  朝日新聞1月28日付朝刊は、「沖縄を除く46都道府県議会のうち、配備や訓練に異議を唱える意見書を可決したのは5県議会。 県議会と全市町村反対を決議した沖縄との違いが際立っている。……米軍は近く全国で低空飛行訓練を始める方針。 訓練への反発が強い高知県でも、オスプレイ撤去を求める意見書案が県議会で2回も否決されたが、沖縄の事故を 「対岸の火災視」 しているのだろうか。

  本土紙のオスプレイ記事は不足しており、読者にその重要性が届いていない気がする。もっと事の重大性を伝える責務があろう。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。