山本有三と憲法制定時の熱気
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.5.22
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  憲法改正をめぐって論議が高まっている折、「憲法への熱い思いを語った山本有三の随筆」 を手掛かりに、 毎日新聞5月20日付夕刊2面(特集ワイド)で興味深いエピソードが紹介された。 鈴木琢磨記者が古本屋で、憲法にまつわる有三の随筆集 「竹」 を見つけたのがきっかけ。1946年NHKでその一部が紹介され話題になったという。 「春の末から夏になると、わか竹がすくすくと伸びてゆきます。子のほうが、親よりも立派なものになってゆくのは、私には嬉しいことの一つです」 と語っている。 さらに同年11月3日に公布された新憲法について、朝日新聞に 「…裸より強いものはないのである。 あなた方は、これからの日本をしょって立つ人々である。もし道を誤ったならば、日本はどんな事にならないとも限らない」 との一文を寄せている。

  有三は、内閣法制局の依頼で、前文から9条までの草案を書き上げた。現憲法はこれを下敷きにしているという。 新憲法に託す有三の熱い思いに、深い感銘を受けた。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。