中国外相 「尖閣棚上げ論」 を展開

ジャーナリスト 池田龍夫 2013.10.2
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  国連総会を舞台に、中国、韓国の対日外交攻勢が活発だ。中国の王毅外相は9月27日、国連総会で演説。 日本と対立する尖閣諸島問題を念頭に、「すぐに解決できないなら、まずは棚上げしてもいい」 述べた。 日本は 「尖閣諸島は日本固有の領土」 と主張し、尖閣には領土問題は存在しないとの立場だ。
  王氏は 「我々に解決の知恵がない場合は次世代で」 と唱えたトウ小平氏の外交方針を踏襲したとみられる。 昨年の国連総会では、日中が反論し合う展開となったが、中国の外交方針転換に注目したい。 手詰まり状態をどう打開するか、日本側に決断を迫ったように受け取れる。
  岸田文雄外相は9月26日、韓国外相と会談。韓国が発動した福島など8県の水産物輸入禁止撤廃を要請したが、韓国外相は拒否、物別れに終わった。 従軍慰安婦問題でも韓国の姿勢は軟化していない。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。