「ローマ法王、首脳外交活発」 に感銘

ジャーナリスト 池田龍夫 2014.1.29
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  内外とも暗いニュース≠伝える紙面を読むのが辛い日々だ。そんな折、「ローマ法王首脳外交活発」 の記事に、感銘させられた。
  全世界のカトリック教徒は約20億人。そのトップがバチカンだけのスピーチでなく、世界の首脳会議を熱心にサポートしている。
  法王は世界の政財界人が集う 「世界経済フォーラム年次会議」(ダボス会議)メッセージを送り、 シリア情勢の悪化などに 「政治と経済は人間の尊厳を考慮すべきだ」 と訴えた。 また、シリア和平会議 「ジュネーブ2」 にも使節を派遣し、「対話こそが唯一の道だ」 と訴えた。 無条件の即時停戦と難民に対する人道支援の実現を求め、全ての宗教勢力に対して 「相互理解に努めよ」 と語りかけた。
  朝日新聞1月27日付朝刊が報じたもので、その影響力は大きい。 ミラノ・カトリック大学のアゴラ・ジョバニョーリ教授は、「フランシス法王は、前法王ベネディクト16世より国際政治に強い関心を持ち、手腕を発揮しつつある。 アルゼンチンという 『非欧州』 の意識は世界の 『周縁』 に向いている。 グローバリゼーションや戦乱について、彼は貧困層や弱者、被害者の側で物事を選択している」 と、人物像を語っていた。
  全世界の宗教徒が一堂に会し、国境を越えて話し合える環境作りに努力し報復、殺し合い≠フ現実を払拭されるよう切に望みたい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。