女性研究者 「STAP細胞」 開発の快挙

ジャーナリスト 池田龍夫 2014.2.5
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  学問からスポーツ・洋舞などでの活躍が最近の紙面に取り上げられ、鬱屈した日本社会を活性化させている。 無味乾燥な政治報道、凶悪犯罪の続発で暗かった社会に、ひとすじの光が射し込んだような気分である。 若い男性の活躍も、多くの国民を喜ばせているが…。

  世界を驚かせた30歳の小保方晴子リーダーの研究に
  理化学研究所や米ハーバード大学での研究が実って 「人工多能性幹細胞(STAP細胞)」 の開発に成功した。 山中伸耶・京大教授の 「 IPS細胞」 開発とは違った手法を編み出したのが、30歳の女性研究者・小保方晴子さんで、国際的評価が全世界に広がっている。 先端医学の分野での女性の発見は稀有なことで、日本の研究水準の高さに驚かされた。
  1月30日付朝刊各紙によると、小保方さんは早大先進理工学部応用科学科卒。 東京女子医大生命医科学研修生を経てハーバード大学で研鑽を積んで帰国した。 現在は理化学研究所発生・再生科学総合研究センターのユニットリーダーの要職を務めている。
  今度の成果は共同研究によるものだが、主導役の小保方さんが試行錯誤を重ねて編み出した斬新な手法が、牽引車≠ノなったという。

  ローザンヌ・コンクールで、10代の男女が1位、2位に輝く
  第42回ローザンヌ国際コンクール最終審査結果が2月1日発表されたが、松本市の二山治雄さん(179)が1位、 横浜市の前田紗江さん(15)が22位の快挙も嬉しいニュースだ。
  バレエダンサーの登竜門といわれるローザンヌ・コンクールには、15〜18歳の男女295人が応募。最終審査に残ったのは20人。 日本から応募の21人中男女3人ずつが最終審査へ進出したという。 1989年の優勝者、熊川哲也さんが 「日本が文化先進国であることが証明され、爽快な気分です」 と語っていたように、 日本人の誰もが絶賛しているに違いない。

  ソチ冬季五輪は2月7日開幕するが、高梨沙羅さん(17)=スキー・ジャンプ女子=羽生結弦さん(19)=男子フィギュア=ら10代の選手も多く、 各種目でのメダル獲得の期待が高まっている。

  「女性活用」 も成長戦略の一環か
  これら明るい話題は国民を元気づけるが、連日紙面を賑わしている国会は、各党の駆け引きが目立つばかり。 将来展望が開けてこないことに国民は苛立っている。安倍晋三首相のアベノミクスの動向が気がかりだが、 首相は 「成長戦略達成のため、女性の活用を進める」 との繰り返しだ。男女平等の戦後,まだまだ男尊女卑の風土は変わっていない。 首相の 「女性の活用」 は、景気浮揚のためのキャッチフレーズに過ぎないのではないか。 国民の多くは男女賃金格差の是正、保育所などの環境整備を望んでいるが、実態はお粗末な限り。 もっと低所得者対策などにも積極的努力を払うべきである。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。