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大垣警察市民監視違憲訴訟 一審判決弁護団声明
声 明
2022 年 2 月 21 日
大垣警察市民監視違憲訴訟・原告弁護団
本日、岐阜地方裁判所 (民事 2 部) は、大垣警察市民監視違憲訴訟 (国家賠償請求事件、個人情報抹消請求事件) について判決を言い渡した。
まず、判決は、大垣署警備課 (公安警察) の警察官が、民間事業者に原告らの個人情報を提供した行為について、プライバシー侵害を認め、原告一人について金55万円の損害賠償を認めた。公安警察は、犯罪などとは関わりなく、目星を付けた特定の個人について個人情報を収集し、保有しているが、それを外部の第三者に無断で提供したことが違法と評価されたものである。訴訟において、公安警察は「公共の安全と秩序の維持」のために必要な活動であると主張していたが、判決はこの主張を退けて原告らのプライバシー侵害を認め、国民の権利を守る正当な判断を下した。
しかしながら、公安警察が個人情報を提供できたのは、目星を付けた特定の個人の情報を集め、保有し続けているからに他ならないが、この点について、判決が、収集・保有の必要性がないとはいえないと判断し違法性を認めなかった点は問題である。公安警察が個人情報を収集・保有する明確な法的根拠は存在しない。公安警察は警察法 2 条 1 項を根拠として主張しているが、同条項は、「公共の安全と秩序の維持」という行政事務を警察組織に委ねるという組織規範であって、権限規範ではない。国民は、法的な根拠なく、公安警察に個人情報を収集・保有されているのであり、プライバシーを侵害されているというべきである。
また、判決は、原告らが切望している個人情報の抹消請求について、請求が特定されていないとして却下の判断をした。司法救済の道を閉ざすものであり重大な問題である。公安警察が原告らの個人情報を保有する限り、いつまた今回と同じような違法な情報提供が行われるとも限らない。この点についての原告らの不安は大きなものがある。これを解消するためには、公安警察が保有している情報を抹消させるほかない。
公安警察が特定の個人に着目して情報を収集し保有し続ける行為は、国民監視という他なく、国民の政府に対する市民活動や表現活動を萎縮させるものである。本判決は、この観点からの判断が不十分と言わなければならない。
弁護団は、引き続き、公安警察による国民監視を許さず、個人情報の違法な収集・保有に対して抹消請求が認められるように取り組んでいく決意である。
以上
※参考 「もの言う」自由を守る会HP
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