「原子力規制庁」 発足、先延ばしに驚く
ジャーナリスト 池田龍夫 2012.3.23
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  原子力の安全規制を目指していた 「原子力規制庁」 の4月発足が先延ばしされた。 野田佳彦政権の不手際から、原子力安全改革法案の年度内成立が絶望的になったからだ。

  「原子力規制庁」 は、原発を推進してきた経済産業省から原子力安全・保安院を分離、環境省の外局に一新してチェック体制を強化するための機関。 福島原発事故の反省に立って新設を急がなければならないのに、事故後1年経っても設置できないとは、とんでもないことだ。

  原発の再稼動の是非、核燃料サイクルの見直し等々、「規制庁」 の任務は極めて重大なのに、 4月以降も経企省傘下の保安院が審査・認可を当分続けるとは、無責任な話である。 保安院の失態を目の当たりにして、国民の安全審査への不安が高まっている。 官民の衆知を集め、国民を守る「規制庁」を一刻も早くスタートさせなければならない。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。