厄介な福島原発4号機の燃料プール

ジャーナリスト 池田龍夫 2012.8.31
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  東京電力は7月中旬、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールから2体の未使用燃料を取り出して調べていた。 8月28日その1体につき 「大きな異常はなかった」 と発表。
  燃料集合体は長さ約 4・5メートル、重さ約300キロ。4号機のプールには現在使用済みを含む1533体の核燃料が残されているというから、一大事だ。 放射性物質が高濃度のため、取り出し作業は危険きわまりなく、2体の取り出しだけでも大変だった。 来年12月に本格的な取り出し作業を始める予定というが、先行きに不安が残る。調べた1体は無傷のようだが、 4号機の建屋内には吹き飛んだコンクリート片が飛び散り、その一部が燃料の隙間から見つかったというから、楽観できない。
  8月30日早朝、宮城県南部で震度5強の余震があった。福島原発に異常はなかったようだが、地震への恐怖がつきまとう。 領土問題などの影響で、原発情報が不足していると思えるが、東電もメディアも警戒を続け、いち早く異変を伝えてほしい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。