くるくる変わる野田改造内閣の評判は悪い
ジャーナリスト 池田龍夫 2012.10.5
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  野田佳彦第3次改造内閣の評判は極めて悪い。毎日新聞10月1日付 「余録」が、万葉集の言い回しに似せて揶揄した短歌は出色である。
  「世の中を何に譬えん 民主党 居眠りの間に代わる大臣」 「世の中を何に譬えん 定めなき少子化相の顔のうたかた」 「世の中を何に譬えん 声高き政治主導の跡かたもなし」――不人気の野田政権を軽妙に言い当てているではないか。
  民主党が政権の座を奪取してから3年余で、鳩山→菅→野田と首相が代わったばかりか、少子化担当相は10人、消費者担当相が10人も入れ替わっている。 「政治主導」 は名ばかりで、実は 「官僚主導」。まともな政策を示さないだけでなく食言≠ナ、あっという間に消えてしまった閣僚も数人いたことに、 国民は呆れている。
  今度の改造内閣の顔ぶれについて各紙は、「代表戦の論功行賞」 「入閣希望者の在庫一掃」 などと酷評。 野党からも 「思い出作り内閣」 「卒業記念内閣」 と辛辣な言葉が浴びせられており、まさに解散引き延ばしの悪あがき≠フ印象が強い。
  朝日新聞3日付朝刊の緊急世論調査によると、「首相にふさわしいのは」 との問いに、安倍氏39%、野田氏34%。 「民主党内閣の今後に期待する」 は30%で、「期待しない」 が62%。安倍・自民党に対しても 「期待する」 は39%、「期待しない」 が54%で、 既成政党離れを示している。「日本維新の会」 が次の総選挙でどこまで票を伸ばすか。政界再編のウネリがますます高まってきたようである。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。