主権回復式典は、祝う日より考える日に
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.4.12
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  政府は4月28日、主権回復記念式典を開催する。この日はサンフランシスコ講和条約が発効し、米国の占領が終わった日。 ところが、沖縄、奄美、小笠原は米国の統治下に置かれたまま。 明らかに米政府の日本分断政策であり、特に沖縄は1972年5月15日の本土復帰まで、米軍の支配下≠ノあった。 しかも現在も戦略上の拠点として、日本の米軍基地の74%が沖縄に置かれ、県民は沖縄差別≠ニ本土政府に反発を強めている。

  毎日新聞3月31日付社説は、「なぜ米国の占領統治に至ったのか、なぜ戦争を防げなかったのか、 なぜ戦前の日本は世界から孤立したのかを考える日であるべきではないか。 その反省を踏まえ、二度とあのような失敗を繰り返さないためには何が大切なのかを深く自問自答する日にするのである。 4・28は私たち一人ひとりが過去の出来事と真摯に向き合い、全ての日本人が過ちなき未来を思い描く機会にしたい。 従って式典は簡素で、祝う日ではなく、静かに考える日にしたい」 と強調している。まさにその通りで、お祭り騒ぎ≠ノならないよう心してもらいたい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。