敦賀原発 「活断層の疑い」 の結論足踏み
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.5.6
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  日本原子力発電所敦賀原発(福井県)2号機直下に活断層のあることが、原子力規制委員会から指摘されていた。 しかし、断層を調査した専門家チームが、意見の一致を見てから早4カ月も経ってしまった。

  専門家からの意見聴取を終えたが…
  東京新聞4月21日付朝刊によると、「森本英香・規制委事務局次長は4月19日の記者会見で、報告書が決定されない理由を問われ、 『会合は丁寧にやっていくということ』 と説明した。現電は6月までの予定で原発敷地内を追加調査中で、チームが中間報告を受けてもおかしくない。 専門家たちは、自分たちが合意した見解に確信を持っており、報告書にまとめた。 予定外だったのは、専門家からの意見聴取(査読)も終えたのに、なぜ報告書を正式決定し、 規制委としての敦賀原発2号機の運転の可否を決めないのか、足踏み理由が分からない」 と指摘した。
  東京学芸大の藤本光一郎准教授は 「原電から新しいデータが出てきても、判断は変わらないだろう。 中途半端な状況を長々と続けるのは良くない」 と徒労感をにじませた。
  3月下旬の自民用会合で、規制委事務局の担当者は 「(次の会合で)原電の話を聞いて報告書案を書き直す」 としており、 チームの報告書が決まるのは、5月以降にずれ込む公算が大きい。

  原発再稼働のメド 「今年の秋」 茂木通産相表明
  一方、日経4月23日付朝刊は、「茂木敏充経済産業相は4月23日のBSジャパン番組で、 全国で稼働を停止している原子力発電所が再稼働する時期のメドについて 『今年の秋になるだろう』 と述べた。 規制委による安全審査を経て、電力会社が最短で再稼働する時間の見通しを示したもの。茂木氏が再稼働の時期に言及したのは初めて」 と報じていた。
  全国に50ある原発は関西電力大飯原発3、4号機を除いて運転を停止しており、 規制が7月にまとめる新規制安全基準を満たした原発は,今秋から再稼働となりそうだ。
  安倍晋三政権の 「原発再稼働」 への執念を感じざるを得ない。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。