オバマ米大統領、沈痛な思い
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.7.24
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  米国南部フロリダ州で17歳の黒人少年トレイボン・マーチン君射殺事件をめぐる裁判で、米フロリダ州第18巡回裁判所陪審員は7月13日、 ヒスパニック系白人ジョージ・ジマーマン被告(29歳)に無罪判決を下した。 無罪の根拠は正当防衛としているが、全米各地で不当判決への抗議行動が拡大している。
  黒人初の大統領としてオバマ氏は7月19日、ホワイトハウスで 「(少年は)35年前の私だったかもしれない」 と沈痛な思いを語った。 少年は昨年2月夜、白人男性自警団団長とトラブルの末、拳銃で射殺されてしまった。 オバマ大統領は 「黒人社会は、拭い去れない過去の経験や歴史を通じてこの事件を見ている」 と付け加えている。
  6人の陪審員は5人が白人、残る1人がヒスパニック系で、黒人の陪審員は1人もいなかったという。 大統領発言は、全米に拡大した抗議行動の沈静化を図る狙いとも推察できるが、深刻な人種差別が消えない米国の恥部≠さらけ出ししまった。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。