チェルノブイリ視察より、福島の現場を直視せよ
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.8.29
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  岸田文雄外相は8月25日夜(日本時間)、27年前に大事故が発生したチェルノブイリ原発を視察した。 「4号機」 爆発直後、高濃度放射性物質の拡散を食い止めるため 「石棺」 と呼ばれる建造物を作ったが老朽化が著しく、 ドーム型の建造物による補強作業が進められていた。視察のあと、岸田外相は 「今も事故との闘いが続いている実態を直接感じることができた。 ウクライナの経験や知見は、福島での原発事故の対応で大きな参考になる」 と述べた、

  「首相のトップセールス」 の名のもとに、安倍晋三首相の外遊が目立つ。 岸田外相のチェルノブイリ視察にケチをつけるつもりはないが、福島に行けばもっとリアルな事故現場を見ることができる。 安倍内閣の閣僚が一丸となって汚染水対策などに臨むことこそ、喫緊の課題だ。 米・独などから海洋汚染を危惧する声も高まっており、世界がその行方を注目している。省庁の縄張りを取り払って、政治主導≠フ実を示してほしい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。