原発輸輸出を 「成長戦略」 とする時代錯誤

ジャーナリスト 池田龍夫 2013.9.6
目次

  福島原発事故によって中断していた、日印原子力協定の第4回締結交渉は8月3日、外務省で再開された。
  原子力協定の第1の目的は、日本からの原発関連技術の輸出。 成長戦略の柱として原発輸出を安倍晋三首相が今年5月インドのシン首相との会談で 「早期妥結」 を約束、今回の会談が4回目の協議である。
  安倍首相は内閣発足時から 「原発輸出」 による経済活性化を標榜していたが、福島事故最終処理が全く進んでいない現状からみてオカシな話である。 さらに他国への原発輸出も企図しているようだが、国際社会はこの動きに疑念を感じている。
  汚染水流出がいぜん続いているなかでの 「原発輸出」 などとんでもない話で、 「自らの事故」 を収拾してから、技術力を磨き、交渉に当たるのが、国際的常識だろう。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。