五輪開催に浮かれ、緊急課題解決が遅れては困る
オリンピック招致の論議で、日本の海洋汚染不安、スペインの経済不安、トルコの民衆暴動による政治不安が問題点だった。
日本での2020年五輪開催が決まったといって、有頂天になって欲しくない。
7年後の五輪準備に専念するより、福島原発処理と財政・経済の建て直しこそ、当面の緊急課題であるからだ。
安倍晋三首相はプレゼンテーションで 「汚染水漏れは全く問題ない。抜本的解決に向けたプログラムを決定し、着手している」 と強調したが、
実態はなお深刻だ。五輪開催を成長戦略の一環とする考えのようだが、福島再生など別の重要課題は山積。
そんな折、福島復興予算の流用が明るみに出たり、現場作業員の減少が心配されている。
号外まで出した新聞社もあり、各紙の五輪報道は過剰過ぎたように思う。
日本の現状認識について、もっと問題点を指摘するコメントが必要ではなかったか。
(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。
|