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主権者として最高裁に合否の審判を
――法律家の立場から最高裁裁判官国民審査について訴えます――

2021年10月20日

 

発言者 (発言順)
 大山勇一 (弁護士)
 澤藤統一郎 (弁護士)
 角田由紀子 (弁護士)
 児玉勇二 (弁護士、元裁判官)

主 催  日本民主法律家協会 国民審査プロジェクトチーム
     23期・弁護士ネットワーク

収録日 : 2021年10月20日
制作 : NPJ

 

主権者として最高裁に合否の審判を

――法律家の立場から最高裁裁判官国民審査について訴えます――

2021 年10 月20 日

1  国民審査は最高裁に対する「審判」
 10 月31 日第49 回総選挙投票の際に、「もう一つの総選挙」である最高裁裁判官の国民審査が行われます。主権者である国民が、最高裁のありかたの適不適を判断する大切な機会です。確かな判断材料に基づいて、曇りのない確かな目で、審査対象の各裁判官と最高裁のあり方を判断されるよう、法律家の立場から訴えます。

 日本国憲法には、美しい理想が掲げられています。その理想を実現する役割を担うのが裁判所であり裁判官です。その頂点に位置する最高裁の裁判官に限って国民審査の対象になります。主権者である私たち国民は、国民審査の機会に最高裁のあり方を可とするか不可とするかの審判を行うことで、最高裁だけでなく、全国の裁判所をより良い方向に変えていくことができます。

2  権利保障に背を向けた裁判官に「✕」を !
 今回審査対象となるのは、安倍晋三内閣任命の裁判官が 6 名、菅義偉内閣任命が 5 名の計11名。この裁判官たちは、市民の権利を保障し憲法の理想を実現する役割を果たしたと言えるでしょうか。政府広報だけでは分からないこの問題について、的確な情報を提供する「パンフレット」を作りました。ぜひ、ご参照され活用していただくよう希望いたします。その結論を申し上げれば、以下のとおりです。

 選択的夫婦別姓に反対した裁判官 (林道晴、深山卓也、三浦守、岡村和美、長嶺安政各裁判官) に「✕」を !
 正規・非正規の格差是正に反対した裁判官 (林道晴裁判官) に「✕」を !
 冤罪の救済に背を向けた裁判官 (深山卓也裁判官) に「✕」を !
 一票の格差を放置した裁判官 (林道晴、深山卓也、三浦守、草野耕一、岡村和美各裁判官) に「✕」を !

3  司法官僚裁判官にも「✕」を !
 なお、すべての裁判官にとって、その独立こそが生命です。政治権力にも、いかなる社会的な権力や権威にも揺らぐことなく、自らの良心と法にのみに従った裁判をすることによってこそ、法の正義を貫き国民の人権を擁護することが可能となります。
 ところが最高裁で司法行政を司る「司法官僚」はその人事権を梃子に、全国の裁判官を内部的に統制し、この50年にわたって裁判官の独立をないがしろにしてきたと指摘せざるを得ません。判決内容だけでなく、この点についての国民的批判も重大だと考え、その観点から訴えます。
 裁判と裁判官を統制してきた司法官僚 (林道晴、安浪亮介各裁判官) に、「✕」を !

4  私たち法律家は国民審査制度そのものの改革も訴えます
 国民審査の制度は、憲法第79条にもとづくものですが、主権者国民による最高裁のあり方に関する審査として、実効性が表れにくいものと言わざるを得ません。現行制度の中で努力するだけでなく、制度を変更することも課題として意識せざるを得ません。
 日本民主法律家協会は、1961年に結成されて今年60周を迎えました。これまで司法の民主化に取り組んできて、今回の国民審査のみならず、今後も民主的な裁判所を求める運動を続けることになります。

 また、司法修習23期の弁護士は、50年前の1971年 4 月「司法の嵐」と言われた時代に、弁護士となりました。当時、石田和外最高裁長官 (退官後、「英霊にこたえる会」の初代会長) を典型とする司法官僚と鋭く対峙してきました。そのテーマは、裁判官の思想・良心の自由であり、裁判官と司法の独立をめぐってのものでした。

 私たちはともに、憲法や司法の独立を大切にする法律家としての立場から、国民の皆様に、最高裁裁判官国民審査を大切な機会として生かしていただくよう訴えます。

日本民主法律家協会・国民審査プロジェクトチーム
23期弁護士有志ネットワーク

    ※ パンフレットはこちらから

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