2013.3.27更新

袴田事件(刑事再審請求事件)
事件名:袴田事件(刑事再審請求事件)
2014年3月27日 静岡地裁 再審決定判決
   資料 袴田事件決定要旨
紹介者:戸舘圭之弁護士
連絡先:袴田ネット事務局 (小川秀世法律事務所内)
     〒420-0064 静岡県静岡市葵区本通6-2-1 カメリアビル
     電話 054-653-2230  FAX 054-254-5233


【事件の概要】
  袴田事件( 被告人とされた袴田巌さんの名前をとってこのように呼ばれ、通称されていますが、 本来は、別の呼称がふさわしいと考えています。) の概要は以下のとおりです。

  1966年 (昭和41年) 6月30日、静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌会社専務宅で、一家4人が何者かに殺害され放火される事件が発生しました。
  警察は、当時味噌会社の従業員であった元プロボクサーの袴田 巌(はかまだ いわお)さん(当時30歳)を事件の犯人と断定し逮捕・勾留しました。
  1968年静岡地裁は、袴田さんが強盗殺人・放火事件の犯人であるとして死刑判決を下し、1980年最高裁の上告棄却により死刑判決は確定しました。

  しかし、袴田さんは、逮捕以来一貫して無実であることを訴えていました。
  事件と袴田さんを直接結びつける唯一の証拠である自白調書は、警察による過酷な取調べによってやむを得ず署名指印したものであり、 その内容は虚構です(確定判決においても自白調書45通中44通の証拠能力が否定されています。)。 犯行着衣と認定された 「5点の衣類」 のズボンは小さすぎて、袴田さんには履くことができませんでした。 凶器とされた 「くり小刀」 では、実際に被害者についていた傷を生じさせることはできません。その他、袴田さんを事件の犯人とするには、数々の疑問があります。

【事件の経過】
  昭和41年 6月30日  事件発生
         8月18日  袴田巌さん (当時30歳) 逮捕
         9月 6日  袴田さん犯行を 「自白」
         9月 9日  起訴 (罪名 住居侵入・強盗殺人・放火)
  昭和42年 8月31日  みそ工場タンク内から 「5点の衣類」 が発見さ
                れる
  昭和43年 9月11日  静岡地裁 死刑判決
  昭和51年 5月18日  東京高裁 控訴棄却
  昭和55年11月19日  最高裁 上告棄却 (死刑判決確定)
  昭和56年 4月20日  静岡地裁に再審請求
        11月13日  日弁連が袴田さんの再審支援を開始する。
  平成 6年 8月 9日  静岡地裁が再審請求を棄却
  平成16年 8月26日  東京高裁は即時抗告を棄却
         9月 1日  最高裁に特別抗告
  平成20年 3月10日  袴田さん72回目の誕生日
        3月24日  最高裁 特別抗告棄却
        4月25日  第2次再審請求 (静岡地裁)

【現在の状況】
  最高裁第二小法廷は、3月24日、不当にも特別抗告を棄却しました。
  弁護団は、4月25日、静岡地方裁判所に対して、第2次再審請求を申し立てました。
  袴田さんは、現在72歳。死刑確定者として東京拘置所にいます。
  長期間の拘禁のため精神に変調をきたし、親族や弁護士と満足に意思疎通できない状態が続いています。

  支援団体が複数あり (静岡・清水、浜松、東京)、各地で学習会等のイベントを行っています。
  1月24日には、日本ボクシング協会主催の袴田再審支援イベントが後楽園ホールで行われました。


【署名のお願い】
 袴田巖死刑囚の死刑執行停止、および医療施設への移送を求める 署名 にご協力をお願いします。

【カンパのお願い】
  袴田弁護団では、弁護活動を支えるためのカンパを募集しています。みなさまのご協力をお願いします。
  静岡信用金庫 安西支店
  普通預金 口座番号 0433547番
  名義人  袴田弁護団事務局事務局長小川秀世

  弁護士 戸舘 圭之 (第二東京弁護士会)
  e-mail yoshiyukitodate@ybb.ne.jp  todate@yoyogi-law.gr.jp
  東京都渋谷区代々木1-42-4 代々木総合法律事務所
  TEL 03-3379-5211  FAX 03-3379-2840
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【袴田事件に関する文献、ホームページ】
●袴田事件弁護団編
  「はけないズボンで死刑判決 検証・袴田事件」 現代人文社、2003年
●山本徹美「袴田事件」新風舎文庫、2004年
●浜田寿美男「自白の心理学」岩波新書、2001年
●浜田寿美男
  「自白が無実を証明する 袴田事件、その自白の心理学的供述分析」
  北大路書房、2006年
●秋山賢三 「裁判官はなぜ誤るのか」 岩波新書、2002年
袴田事件研究会修習生部会
袴田巌さんの再審を求める会
袴田巌さんを救援する清水静岡市民の会

文責 弁護士 戸舘 圭之