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『コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から』

2018年1月24日

西原智昭著『コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から』(現代書館)刊行のご案内

 
著者より
 この1月、現代書館より、拙単著『コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から』が刊行されました(2,200円+税、全256ページ)。全国の書店他、アマゾンや楽天などでの販売が始まります。詳細と表裏表紙は添付をご覧ください。本書の帯には、ぼくの大先輩である京都大学総長・山極壽一氏から「野生生物と人間の境界に立って地球を見渡せる人は数えるほどしかいない。それは、生物たちの暮らす世界に入ってその本質を身体で感得する必要があるからだ。著者はその最先端で活躍してきたフィールド研究者である。ゴリラを最初の案内人としてアフリカの熱帯林に分け入った著者は、多くの野生生物の悲惨な実態を目の当たりにすることになった。詳細な観察を通して著者が語り続けてきた事実は、いま私たちに新しい問いを投げかける」という推薦のお言葉をいただいております。

 
アフリカ熱帯林での見聞と経験の集大成
京都大学理学部人類学研究室の一大学院生としてアフリカ中央部熱帯林地域であるコンゴ共和国にてニシゴリラの生態学的研究を始めたのは1989 年、その後WCS(ニューヨークに本部を置く国際野生生物保全機関)に属しながら、同地域を中心として、野生生物の調査研究、生物多様性保全、自然環境マネージメントの業務に携わってきました。本書は、その30 年弱にわたり現地で見聞し経験してきたことの現時点までの集大成です。しかし、純粋なアフリカ好きや野生動物好きとは異なる立場からの表出であり、単なる紀行文ではありません。

生物多様性保全はわれわれ自身の問題
生物多様性保全などが謳われている昨今、コンゴ共和国などで日常的に起きている野生生物の乱獲危機は一向に収まらず、むしろ悪くなる一方です。象牙、木材、ヨウム、海産物などその対象はあげれば切りがありませんが、それはアフリカ現地だけでの問題ではないのです。むしろそれらの問題は国際的な需要に大きく起因します。特に日本を初めとする先進諸国の問題なのです。いったいどこの誰がその課題に向けて具体的な解決策を見出し実行していくのでしょうか?
そこで、まずは多くの人に知られていない事実を、日本人として日本語で日本人に伝えていかなくてはならないと思い立ったのが本書の執筆の動機でした。

なぜ従来の自然保護活動や教育が結果を伴っていないか
自然保護活動や保全教育は何年も前から始まっていますが、なぜ野生生物の生存状況の大半は改善されてきていないのでしょうか。動物が「かわいい」「賢い」「すばらしい」あるいは「かわいそう」、だから「守る」ということだけでは通用しないのは明らかです。保全の問題の根幹には、アフリカ現地での政治体制や経済状況とも深く関わる一方、先進国のライフスタイルとの関連性をも鑑みる必要があります。自然保護NGO の諸活動、学校教育や動物園・水族館などにおける保全教育などはこれまで自己満足の域を出なかったのではないでしょうか。たとえばゾウの保全に関して、「象牙を使う者は悪者だ」といった敵視する態度だけでは解決にはつながりません。またクジラの保全に関しても「先住民の生存捕鯨」を無視できません。そこでは「伝統・文化」の精細な歴史的吟味と検討が必要不可欠なのです。

読者層には理系も文系もありません
アフリカでの長年にわたる現場の経験をもとに、こうした事情を横断的に真摯に分析と考察を試みたのが本書です。本書の対象読者は限定されません。なぜならば、野生生物保全の問題は野生生物だけの問題ではなく、社会、経済、文化、教育をも含めた視点が望まれるからです。先住民問題も見過ごすことができないため、その理解も必須となります。理系も文系もありません。分野は問いませんが、生き物、自然、環境、保全、動物園・水族館、自然科学、教育、国際関係・国際協力、経済、政治、社会、歴史、文化、先住民、芸術など関心のある方には是非手にとって読んでいただきたく思っております。学生さんなど若い方、教育関係に関わっている方、自然保護NGO や動物園・水族館に従事しているスタッフの方には特にお薦めしたい一冊です。

人類と地球の未来へ向けて
われわれ人類は野生生物とその生息環境、そして人類の「ゆりかご」であるアフリカの熱帯林を後世に残していくことはできるのでしょうか?
また人類の文化遺産や先住民の伝統文化を継承していくことはできるのでしょうか?
偏った視点・視野からだけでは、それらが崩壊の一途をたどることは確実であることを本書から読み取っていただければ幸いです。

                                     西原智昭 2018 年1 月 コンゴ共和国より

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