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瀕死の表現の自由~コンビニ・コミック撤去訴訟

2014年5月30日

事件名

コンビニ・コミック撤去訴訟(国家賠償請求訴訟)

1 事件の内容

福岡県警がコンビニ各社に対して暴力団関係書籍等の撤去を要請し、この撤去要請により自己の著作を原作とするコミックがコンビニの店頭から撤去された作家宮崎学氏が精神的苦痛を被ったとして損害賠償を請求している訴訟

2 係属裁判所

最高裁判所第三小法廷(最高裁の判断待ちの状態)

3 紹介者

弁護士倉地智広

4 事件の概要

(1)当事者

原告 宮崎学氏

被告 福岡県

(2)請求の趣旨

宮崎学氏が福岡県に対し精神的苦痛の慰謝料として550万円を請求

(3)訴訟の経過

福岡県警は、暴力団排除条例が平成22年4月から施行されるのに先立ち、21年12月に、コンビニ各社に対して、「暴力団専門誌や暴力団を主人公とした漫画等が氾濫しているなど、一部では暴力団を美化する風潮があることから、それらの影響を受け、誤った憧れを抱いたまま暴力団に加入する青少年が多数存在しているのが現実であります。このような憂慮すべき状況にあるということを認識すれば、青少年が多数来店するコンビニ店舗から暴力団関係書籍、雑誌等の撤去を検討すべきではないかと考えております。」として暴力団関係書籍等が青少年に多大な影響を与えている現状を理解頂き、適切な措置を講じていただきたいとの要請文書、および県警が有害と考えているコミック、雑誌を列挙した一覧表を交付した。

一覧表にはコミック73冊(竹書房)と、月刊誌3冊のリストが添付されていた。このリストに、原告宮崎学氏の著作である『突破者異聞 鉄(kurogane)―極道・髙山登久太郎の軌跡』(徳間書店)を原作としたコミック『実録 激闘ヤクザ伝 四代目会津小鉄 鉄 髙山登久太郎』も含まれていた。上記一覧表には、暴対法上の「指定暴力団」だけではなく、国会議員を務めたこともある吉田磯吉や、右翼の児玉誉士夫、野村秋介など、もはや歴史上の人物と言うべきものを扱った作品や、「昭和残伝」「緋牡丹博徒」など東映映画の劇画化作品も挙げられていた。

上記要請を受けたコンビニ各社は、上記一覧表掲載のコミック73冊(竹書房)と、月刊誌3冊を撤去した。

県警の撤去要請によって、自己の著作を原作とするコミックがコンビニの店頭から撤去された宮崎学氏が、憲法21条1項で保障される表現の自由等が侵害されたとして損害賠償を請求した。

第1審判決 福岡地方裁判所は、平成24年6月13日、原告の請求を棄却した。理由として、県警の撤去要請にコンビニ各社が任意に従ったものであり、表現の自由を侵害しないとした。

第2審判決 福岡高等裁判所は、平成25年3月29日、原告の控訴を棄却した。理由として、コンビニ各社は「県警から事実上強制されて本件コミック等の撤去に及んだというよりも、本件要請を機に、自らその社会的責任を果たすべく、各コンビニ店舗から暴力団関係書籍等を撤去する自主的措置を採った」として、表現の自由を侵害しないとした。

最高裁 上記判決を不服として最高裁に上告及び上告受理を申し立て中。

5 本訴訟の意義

憲法21条1項が保障する表現の自由の真価が問われる訴訟である。自民党改憲草案21条に規定する公益及び公の秩序による表現の自由の規制や、先ごろの美味しんぼ問題にも通底するものを含んでいる。また、平成25年度重要判例解説にも取り上げられており、憲法の番人である最高裁の判断が注目されている。

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