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福島原発さいたま訴訟
第1回口頭弁論報告

2014年6月19日

福島原発事故で故郷を追われ、埼玉に避難された被災者6世帯16名が国と東電を相手に提訴した損害賠償請求訴訟「福島原発さいたま訴訟」の、第一回口頭弁論が、6月18日、さいたま地方裁判所(脇由紀裁判長)で行われました。

開廷前から傍聴券を求める長い列が出来、満席の傍聴者が注視するなか、まず原告の意見陳述が行われました。原告男性は「今回の原発事故によって,私たちは,何気ない日常を一瞬にして滅茶苦茶にされました。もう,どうやっても元通りにはなりません。国や東電は,どう責任を取ってくれるのでしょうか。」「国も東電も,避難者の大変な被害について,きちんと責任を認めてほしいです。そして,一旦事故が起きたら,こんなにひどい事になってしまうのだと,真剣に反省するべきです。私は,現在も避難生活を強制されて,それに対して国や東電が十分に責任を取っていないことが,悔しくて仕方ありません。」と、静かな口調のなかに強い憤りをこめて語られました。

続く原告代理人弁護士の意見陳述では、本件訴訟についての弁護団の基本方針を述べ、「本件は、国及び東京電力の本件事故に対する法的責任を明らかにし、被害者への十分な賠償を行うよう求める裁判であり、同時に、今後同じような事故を二度と起こさないための裁判」であることを、明確に訴えました。

原告代理人弁護士は、さらに被告国側の答弁書について、1)国側は訴状に記載された内容の記載が、国会事故調や政府事故調の報告書にあるという事実を認めるだけで、その記載されている内容について認否をしていない。2)訴状における原告の主張のうち、国が「否認する」部分について、一方的に否認するだけで、否認の理由を述べていない、とその不誠実な態度を批判し、きちんと答弁するよう求釈明を行いました。被告国側代理人は書面の提出期日を決めることさえも渋りましたが、裁判長に促されて、やっと次回期日(9月24日午後3時)が決まりました。なお、訴状における原告らの請求について、被告らはいずれも棄却を求めています。

現在、同様の損害賠償請求訴訟が、全国20都道府県で行われていますが、どの訴訟でも、原告に言わせるだけ言わせて、ずるずると引き延ばす被告側の姿勢が目立つそうです。後出しジャンケンを食らわぬよう、早めに被告側を土俵に引きずり出すべく、弁護団は戦略を練っています。

閉廷後、午後3時から埼玉弁護士会館で報告集会が開かれました。法廷では意見陳述されなかった原告のお話や、弁護団からの補足説明、質疑応答などで、裁判に対する理解が深まりました。連携体制をとっている山形、新潟、群馬の弁護団からも、各地の取り組みについて報告がありました。

報告集会に続いて原告・弁護団を支援する「福島原発さいたま訴訟を支援する会(略称:福彩支援)」の結成集会が開かれました。これまで「準備会」として活動してきましたが、役員、規約が満場一致で承認され、正式に「会」としてスタートする運びとなりました。

呼びかけ人のひとりで、傍聴から参加くださった井戸川克隆さんから「事故は起こるべくして起こった」と国と東電への怒り、被害者の苦境を訴えるご挨拶をいただき、「福島原発かながわ訴訟を支援する会(略称:ふくかな)」事務局長・原告団長も駆けつけて下さって、連携の呼びかけがありました。

次回期日は、9月24日(水)午後3時から、となりました。被告側が訴状に対する認否をおこなう重要な期日です。次回もまた、傍聴席を満席にしましょう。ぜひご支援をお願いします。

挨拶する北浦恵美・福島原発さいたま訴訟を支援する会代表

挨拶する北浦恵美・福島原発さいたま訴訟を支援する会代表

報告者 : 桂川潤(「福島原発さいたま訴訟を支援する会」事務局、ブックデザイナー)

 

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