NPJ訟廷日誌
福島原発さいたま訴訟 第2回口頭弁論の報告
9月24日15時、さいたま地裁101法廷で、福島原発さいたま訴訟の第2回口頭弁論が、ほぼ満席の傍聴者が見守るなか、開催されました。
冒頭、原告代理人弁護士が、7月23日提出の第2・第3準備書面に続く第4準備書面を意見陳述し、O>P(小名浜港工事基準面)+10mを超える津波で電源喪失に至る危険性について、東電側は平成14年に、どんなに遅くとも平成18年には認識していた事実を指摘し、重大な過失責任を厳しく糾弾しました。
これに対し東電側代理人が「責任論云々の論議は必要ない、損害論の方を早く進めたい」と陳述し、原告側弁護士が強く反発する一幕がありました。
民法709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とありますが、東京電力は「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」3条1項の規定する「原子力事業者の責任」を、「無過失責任」と解釈し、民法709条の適用が排除されるとして、賠償責任の審理は損害の有無や金額に関する部分に集中すべきであると主張しています。
しかし、これは被害者の主張を門前払いし、政府が設けた基準を踏まえて賠償すればいいとする逃げ口上。慰謝料の算定にも、東電が犯した過失の重大さ、その責任の大きさは大きく影響するし、何よりも、このような事故を繰り返さないために国と東電の責任を明らかにさせることこそが、原告らが求めていることです。
弁護団は、民法709条と原賠法3条1項の関係を詳細に検討し、原賠法3条1項は民法709条の適用を排除しないこと、本件においては東京電力の過失の種類や程度を審理の対象としなければならない理由を主張しています。
裁判長から、双方の論点を整理し、訴訟の進め方に関する進行協議を行う旨の提案があり、原告側(他地域訴訟の弁護団も含む)、被告側(国・東電)、裁判所の4者で進行協議が別室で行われ、次回期日以降の日程も決められました。
12月10日(水)15時、2015年2月18日(水)14時30分、4月22日(水)14時30分です。
場所を改めて行われた報告集会では、福島から駆けつけてくださった福島原発避難者訴訟原告団の皆さんから連帯と激励の挨拶があり、さまざまな困難のなかで裁判を続けている当事者ならではの言葉に打たれました。賠償要求に対する心ない言葉がどんなに被害者が傷つけているか、反面、多くの支援がどんなに助けになっているか…。身の引き締まる思いでした。
続いて、福島県浜通り、首都圏、山形で賠償請求訴訟を闘っている弁護団からの発言があり、「責任論を問わずに損害論に入るやり方は、無責任論だ」、「ゼニ・カネの問題ではない。国と東電の責任を明らかにすることなしに、補償はありえない」「同じ被害、同じ加害者の裁判が全国で展開されている。弁護団も全国的に連携し、裁判闘争の水準と論理を底上げしていきましょう」等の、力強いアピールが寄せられました。
次回期日は12月10日(水)15時(傍聴整理券配布は30分前)です。ぜひ傍聴においでくださいますようお願いいたします。
福島原発さいたま訴訟を支援する会
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