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攻めの護憲活動

寄稿:飯室勝彦

2022年2月10日


 議論を避けるばかりでは日本国憲法を守り切れまい。政治家として国民の中に分け入り、現行憲法の誕生理由や現代に存在する意義に関する理解を深める地道な努力が必要だ。

◎改憲へまた一歩
 改憲へ向けた自民党の態勢がいよいよ動き出した。また一歩前へ進んだ形だ。「憲法改正推進本部」を「実現本部」と改め、改憲機運を高める集会を全国的に展開するための「国民運動委員会タスクフォース」(TF) を発足させた。TFは 5 月までに全都道府県で集会を開くよう指導することを決め、最初の集会が6日に岐阜市で開かれた。
 今後、全国を11ブロックに分け、それぞれ担当者を置いて集会を開く都道府県連を指導するという。都道府県連にも憲法改正実現本部を設置する方針だ。
 これに対して立憲民主党は真っ向から対峙する姿勢をとっていない。いろいろ理由をもうけて議論に応じようとしない。最近でも衆院憲法審査会の幹事懇談会を予算審議中だからとの理由で共産党とともに拒否し出席しなかった。

◎迷走する立憲民主党
 これは改憲に関する議論を避けるのが基本姿勢のように見える。国民の眼に立憲民主党は土俵に上がらない力士のようなもので “逃げの姿勢” と映る。これは立憲民主党の支持率が振るわい要因でもあろう。
 これでは日本国憲法を守り抜くのは困難だろうし、立憲民主党の支持率回復を期待することもできないだろう。「憲法を支える基盤は広範な国民」という視点が欠けているからだ。本気で闘おうとせず、逃げるばかりでは国民に護憲の意義が伝わらず、国民はついてこない。
 昨年の衆院選で議席を大幅に減らした立憲民主党は迷走中だ。最大の支持勢力である連合から離縁状のようなものを突きつけられて野党間の選挙協力を見直したり、保守色を強めるような政治姿勢の微妙な見直しを模索したりしている。改憲憲発議を許さない為に、参議院で改憲勢力に 3 分の 2 をとらせないことは一番重要な戦略であり、政党支持の如何に関わらず、支持政党なし層にも切り込めるアピールポイントなのに、今秋行われる参議院選 1 人区の野党共闘は立憲民主党の逃げ腰で危うくなっている。立憲民主党には当面の最重要ポイントが見えていないかのようだ。

◎軸足を広範な国民に
 立民党などの護憲勢力に求められるのは、もっと国民の間に分け入る「攻めの護憲姿勢」ではないか。いまや国民の圧倒的多数はあの戦争を生の感覚としては知らないし、日本国憲法が生まれた背景も十分知らない。世論調査などから若者の間に感覚的な改憲論が広がっているかのように見えるのはそのためだろう。
 それらの人々の間に分け入り、日本国憲法は誕生から70年余たっても決して古くはないことを理解してもらう必要がある。現行憲法はなぜ誕生したのか、なぜ現代社会でもなお存在意義があるのか・・・・・・私たちの先人が掲げた「武器なき恒久平和」の理念を理解してもらう努力が必要である。
 多くは学術的な成果として語られているが、政治家はもっと現実感をもって語ることができるはずだ。

◎「足並みの乱れ」への期待
 改憲項目に関しては改憲容認勢力の間でも足並みの乱れがあり、与党である自公でも大幅に違う。マスコミ報道や立民党内部にはそのことが改憲への強いブレーキになり得ると期待する向きもあるが、改憲容認勢力間の足並みの乱れに過度に期待するのは危険だ。対立していても最後は公明党が自民党に妥協してきた連立の歴史をみればそれは分かる。

 改憲を目指す自民党の動きは着実とは言えないまでも一歩前進ではある。そうした中で真剣に憲法を守ろうと思うなら国民の海の中に入り、日本国憲法の存在意義について理解を広める攻めの護憲活動を地道に展開すべきだ。

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