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「知らなかった」は免罪符にならない

寄稿:飯室勝彦

2022年9月12日


 旧統一教会系組織の自民党議員への浸透は、調査結果を発表した茂木敏充・自民党幹事長も「率直に反省している」と言わざるを得ないほどだった。自民党国会議員の約半数が、霊感商法、強引な多額要求などで反社会的組織と批判された団体の関連団体と接触していた。それ自体深刻だが、自民党は議員に対する単なるアンケートでお茶を濁し、まして故安倍晋三元首相と旧統一教会との関係については調査もしないという。
 
◎半数の議員が “接点”
 茂木幹事長が発表したアンケートの結果によると、自民党国会議員379人の半数近い179人が旧統一教会の後継団体、関連団体などと何らの “接点” があった。団体の会合でスピーチしたり、祝電を送ったり、会費を払ったりで内容は多様だが、多くは相手の団体を結果的に権威づける、あるいは一種の宣伝役などを演じていた。
 なかには政治資金パーティーの券を買ってもらった議員もいる。接点があった議員には現職閣僚、現職の党役員もいる。

◎九割が「認識なかった」
 社会的に問題が指摘される団体の利益になるような行動をしたことは問題だが、さらに問題なのは、接点のあった議員の 9 割近くが「相手が教団と関係しているとの認識がなかった」と釈明している (茂木幹事長) ことである。
 国会議員は職業柄多くの個人や団体と付き合うとはいえ、相手の素性も確かめないで接触するのだろうか。相手が何者か分からないまま会合に出たりスピーチしたりするとは考えられない。知らなかったはずはない。
 「認識していなかった」は「知らない」ことが免罪符になると思って持ち出した口実であることが明らかだ。
 自民党は問題の幕引きを急いでおり党としての調査は原則としてアンケートで終え、個々の議員と団体との接点の内容は議員が国民に説明すべきだとして個人に丸投げしてしまった。

◎問われる政党としての責任
 相手が疑念の持たれる団体と知りながら接点を持った場合はもちろん、調べもしないで接点を持った場合であれ政治家として無責任極まる。そんな人物を公認し後押しして国会へ送り出したのは自民党である。
 なぜ問題のある団体との接点が生まれたのか、どんな付き合いがあったのか全容を解明して国民に公開するのは政党の責任である。
 さらに深刻なのは故安倍首相と統一教会および統一教会系団体との関係について、政府も自民党も調べようとしないことだ。安倍氏は教団側との様々な接点が取りざたされ、銃撃した山上徹也容疑者も取り調べに対して言及しているという。
 首相は最高の権力者でありその意思は政治に大きな影響を及ぼす。統一教会系団体と安倍元首相の親しい関係が政治に影響を及ぼすことはなかったのか、こちらも詳しい検証が必要だ。

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