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裁判は配慮や忖度なしに

寄稿:飯室勝彦

2023年1月17日


 安倍晋三元首相を襲撃したとして山上徹也被告が殺人、銃刀法違反の罪で起訴された。裁判では背景や動機が徹底的に解明されなければならないが、事件は裁判員裁判の対象であり、政治信条、悪徳商法など複雑な要素の絡んだ事件について市民の代表がどう判断するか注目される。

◎民主主義への挑戦
 選挙の応援演説中の政治家を白昼公然、銃撃する。異常かつ重大な事件であり、民主主義、国民に対する挑戦と言えよう。厳しく責任を問われるのは当然である。そのため公開の場である裁判で事件の全容があますところなく明かされなければならない。
 懸念されるのは、政治、有力政治家が絡んだ事件だけに裁判関係者が政治的影響を恐れて配慮や忖度を働かせることがないだろうか、ということだ。
 山上被告は「取り調べに対し母親が旧統一協会に多額の寄付をしてしまったため大学に行けず人生がままならなかった」「旧統一協会の幹部を狙ったが警備が厳重だったため果たせず、旧統一協会に対する影響力が強い安倍元首相を撃った」などの趣旨の供述をしたという。

◎多数議員が深い関係に
 旧統一協会と自民党との関係は安倍氏の祖父である故岸信介氏に遡る。必ずしも秘密ではないが、地方議員も含めかなりの数の政治家が深い関係に陥っていたことが、こんどの事件をきっかけに明らかになった。なかには旧協会と政策協定まで結んだ議員もあり、旧協会は政治にかなり食い込んでいた。

◎避けられない政治的影響
 野党は今後も厳しく追及する構えだ。旧統一協会をめぐっては霊感商法や高額の寄付強要などの反社会的行為、特異な政治信条などさまざまな問題が複雑に絡んでいる。裁判の場面展開、結果によっては政治的に大きな影響を与えるかもしれない。政府、自民党としてはこれ以上ほじくり返されたくないのが本音だ。

◎「政治を避ける」も政治的
 政府、自民党側のそんな思いを忖度して、検察が立証を甘くしたり、裁判官が真相に切り込む訴訟指揮をためらったりするなら、それは司法の自殺に等しい。
 なかには「率直に言って、被告の供述が十分理解できない」という捜査員もいるというが、政治的影響を恐れず、それらの供述捜査段階で切り捨てるのはなく、すべて法廷に出して広く国民の目にさらすべきだ。
 「政治的に影響を与えることを避ける」ことも政治的である。

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