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自民党の「安全保障法制」のQ&Aにちょっと待った!その①

寄稿:明日の自由を守る若手弁護士の会

2015年4月17日

自民党さんは、憲法9条のもとでも集団的自衛権を行使できるとした昨年7月の閣議決定以降、何度か、「安全保障法制」についてのQ&Aを発表しています。

・パンフレット「国民をしっかり守れる国へ。」

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/pamphlet2014_9.pdf

・「安全保障法制整備の具体的な方向性について」に関するQ&A

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/127420_2.pdf

しかし、この自民党さんの説明には、私たち「あすわか」からみると、

……あれ?

と思うことが少なくありません。

そこで、「あすわか」も、自民党さんと同じ質問に答えてみることにしました。ベースにしたのは上記のパンフレット「国民をしっかり守れる国へ。」です。

そもそも「集団的自衛権」とはなんですか?

なぜ、今、集団的自衛権の行使を認めないといけないのですか?

○自民党の答え(パンフレットより抜粋)

「日本を取り巻く安全保障環境はますます厳しくなっています。国民の命と平和な暮らしを守るため、『新三要件』を満たす場合、限定的な集団的自衛権の行使を認めることを考えています」

○あすわかの答え

A国から、日本と深い関係にあるB国へ武力攻撃があった場合に、自分の国(日本)が直接攻撃されていなくても、B国と一緒になってA国に攻撃する権利です。

A国からすれば、「何もしていない日本から攻撃を受けた!日本に反撃をしなきゃ!」ということになりますから、日本が攻撃の対象になります。

国民の命と平和な暮らしを守るために必要なのは、外交交渉により紛争を未然に防止する努力であって、集団的自衛権の行使ではありません。

なぜ「憲法改正」という形を取らないのですか?

○自民党の答え(パンフレットより引用)

「集団的自衛権についての閣議決定は、『国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために、必要最小限の自衛の措置をとる』という、政府の憲法解釈の基本的考え方を変えていません。憲法を改正する必要はないと考えます。」

○あすわかの答え

戦争を放棄し、国際紛争を解決する手段として武力は使わないと宣言する憲法9条について、政府は戦後70年間一貫して、集団的自衛権を認めていないと解釈してきました。

これを「集団的自衛権を認めている」と言うのは憲法解釈の基本的考え方を変えたもので、内容的にも憲法9条の変更です。これを政府の勝手な判断でおこなうことはできず、当然「憲法改正」という形を取らなければなりません。

日本が再び戦争をする国になるのでは?

他国の戦争に巻き込まれるようになるのではないですか?

○自民党の答え(パンフレットより抜粋)

「外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は、これからも決してありません。また、抑止力が高まることにより、むしろ日本が戦争に巻き込まれる可能性は低くなります。」

○あすわかの答え

集団的自衛権は、外国の防衛それ自体を目的とする武力行使です。したがって、「海外派兵は一般に許されない」という原則は変わります。

これまで、集団的自衛権の名目で、数々の戦争が行われてきました。集団的自衛権を認めれば日本も攻撃の対象となり、戦争に巻き込まれる可能性は高くなります。

<続く>

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