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行き詰まった沖縄基地「辺野古移転」計画

寄稿:池田龍夫

2015年4月20日

安倍晋三首相は4月17日、那覇市内で翁長雄志・沖縄県知事と初めて会談した。安倍首相は「名護市辺野古への移転が唯一の解決策だ」と述べ、米軍普天間基地の危険除去に向けて移設計画への理解を求めた。これに対し、翁長知事は「私は絶対に新基地を造らせない」として、計画の撤回を求めた。

首相はさらに「普天間基地の一日も早い危険性除去は、われわれも沖縄も思いは同じだろうと考えている。そのなかで、辺野古への移転が唯一の解決策だ。これからも丁寧な説明をさせていただきながら、理解を得るべく努力を進めていきたい」と述べたうえで、「嘉手納基地以南の返還もスタートしており、こうした米軍施設の沖縄への返還を順調に進めながら、沖縄の発展に生かしていきたい」と強調して協力を求めた。

これに対し、翁長知事は「政府は、普天間基地の県外移設という公約をかなぐり捨てた仲井真前知事が、埋め立てを承認したことを錦の御旗として辺野古移設を進めているが、去年の名護市長選挙、沖縄県知事選挙、衆議院選挙で、辺野古への新基地反対に圧倒的な民意が示された」と反論。さらに訪米の際オバマ大統領に伝えていただきい」と述べた。

なお菅官房長官は、普天間基地の運用停止について「5年以内の運用停止は、これまで政府は沖縄県と協力し、確認しながら進めてきている。『できることはすべてやる』という思いで、政府としては引き続き全力で取り組んでいく」と述べた。

沖縄側の主張はどれもまっとうだと思う。危険な普天間飛行場廃止と辺野古移設をワンセットとし、利益誘導のような振興策を振りかざす政府側こそ強圧的ではないのか。

沖縄県民の総意は「辺野古反対」で固まっており、振り出しに戻って打開策を考える度量がなければ事態収拾は難しかろう。一部で囁かれている「辺野古軍港化」など、とんでもない事である。

池田龍夫(いけだ・たつお)毎日新聞OB。

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