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自民党の「安全保障法制」のQ&Aにちょっと待った!その③(最終回)
自民党のパンフレット「国民をしっかり守れる国へ。」(http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/pamphlet2014_9.pdf)のQ&Aと同じ質問に、あすわか的に回答していくシリーズ3回目(最終回)です。
歯止めがあいまいで、政府の判断によって武力の行使が無制限に行われるようになるのでは?
○自民党の答え(パンフレットより抜粋)
「『新三要件』が、憲法上の明確な歯止めであり、政府が恣意的に(都合よく)判断できない仕組みになっています。」
○あすわかの答え
武力行使のための「新三要件」には、「我が国と密接な関係にある他国」「明白な危険がある」などのあいまいな言葉が使われています。国会の承認が必要とされていますが、これは例外的には事後(武力行使をしてしまった後)でもよいので、起こった出来事が「新三要件」にあてはまるかどうかは、政府が決めることができます。たとえば、安倍首相は、石油の不足が「死活的な影響」を招くとして新三要件にあたりうるとし、ペルシャ湾での機雷の除去に自衛隊が参加できるとしました(平成26年5月28日衆議院予算委員会)。ここでいう「死活的な影響」とは、我が国の経済活動にとって、という意味です。生命や身体の危険だけではなく、もっとずっと広い範囲で、あっさりと武力行使が認められてしまうことが分かったといえます。
集団的自衛権の行使が認められると、実際にはどのようなことが可能になるのですか?
○自民党の答え(パンフレットより抜粋)
「一例として『紛争地域から避難する日本人を乗せたアメリカの艦船が、日本近海で武力攻撃を受ける』という想定について述べます。(中略)集団的自衛権の行使が可能となり、『新三要件』を満たす場合には、この艦船と乗っている日本人を自衛隊が守ることが可能になります。」
○あすわかの答え
これまで、世界で集団的自衛権の行使がされた例として、アメリカによるベトナム戦争やソ連によるアフガニスタン侵攻などがあります。いずれも、多数の民間人が命を落とし、またそれまでの生活を失いました。米軍がベトナムで枯葉剤を撒き、アフガニスタンで繰り返し空爆を行ったりしたことは有名です。
集団的自衛権は、実際には戦争の口実として用いられているのです。そして、「新三要件」は歯止めがあいまいなので、「明白な危険」などの要件をゆるやかに解釈して武力行使に踏み切り、アメリカやソ連と同じようなことをしてしまう可能性もあるのです。
今回の安全保障法制の整備では、集団的自衛権ばかり注目されていますが、その他の分野では何が議論され、何が可能になるのですか?
○自民党の答え(パンフレットより抜粋)
「(1)武力攻撃に至らない侵害への対処 (2)国連PKOを含む国際協力等 (3)武力の行使に当たり得る活動、以上3つです。(1)は離島等での武装集団の上陸に対する速やかな対処、(2)は海外で日本人が武装集団に襲われた時、一定の条件のもと自衛隊が救出に向かうことを可能にすることが主な内容です。」
○あすわかの答え
たとえば、閣議決定では、(1)武力攻撃に至らない侵害への対処として、軍隊ではない武装集団から米軍の武器が攻撃された場合、その武器を守るために自衛隊が武器使用をすることになります。
たとえば、閣議決定では、(2)国際協力等として、国連ではなく他国からの要請がある場合に、戦闘地域であっても、そのときに非戦闘現場であれば戦闘員や武器の補給・輸送ができるようになります。また、内閣が「国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しない」と判断した場合には、「駆け付け警護に伴う武器使用」や「任務遂行のための武器使用」もできるようになります。
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いかがでしたか?
自民党さんの答えとあすわかの答え、ずいぶん違いますね。
みなさんはどう考えるでしょうか?
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