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「平和」でも「安全」でもない法制!? とりあえずここだけは ~その③~

寄稿:明日の自由を守る若手弁護士の会

2015年6月14日

連載してきました、閣議決定の関連法案シリーズ

第3弾の今日は、「国際平和支援法」を見てみたいと思います!

「国際平和」を「支援」するなんてステキ!

って簡単に考えないでくださいね。

簡単にいうと

この法案は、

これまで必要だった特措法がなくても自衛隊の海外派遣ができるってもので

「重要影響事態法」の我が国と関係ない版、です!

ん?

① 特措法?

② 重要影響事態法?

と思った方、

長いですが、頑張って読んでくださいね

<国民の議論もないまま行けちゃうよ>

① 特措法って?

特別措置法の略でして

何のために海外へ行くのか、いつまで行って、何をするのか? を具体的に決めた法律です

自国を守らなきゃいけないはずの自衛隊が海外に行くのは、超例外的だから、国会でこれらの事項をしっかり議論して決めましょう、というイメージです。

この特措法がないってことは、

どこへ行くか、いつまで行くか、何をするか、という事項は、内閣で決められるってことです。

あれ? 「事前承認」は?

と思った方、するどい!

そう、特措法がない代わりに事前承認が必要ってことになっています。

でも、この承認、各議院に要請があってから7日以内にしなきゃいけないんですよね。

7日ですよ、たった7日間じゃ、内閣の言っていることが正しいのかを十分に確認したり、ましてや国民の意見を聞くことはできないでしょうね。

時間足りなすぎですよね。

それに、なんてったって、秘密保護法がありますからねぇ

「自衛隊が行って何をするんですか?本当に行く必要あるんですか?」

「それは作戦にかかわることなのでヒミツです」

「自衛隊が行く場所は戦闘現場じゃないんですか?」

「それも米軍の作戦にかかわるのでヒミツです」

・・・・・・

「はい、採決でーす。賛成の方ご起立ください」

みたいな(苦笑)

だから、特別措置法がないってことは、要するに、国民の声を聞くことなく、国会での審議もそこそこに自衛隊が海外にいけちゃうってことなんです。

<自衛官が攻撃する危険・攻撃される危険が高まるよ>

② 重要影響事態ってなんだっけ?という方

http://www.asuno-jiyuu.com/2015/05/blog-post_79.html

をご覧くださいね!

で、どういうことかというと

重要影響事態法で自衛隊ができる活動と

国際平和支援法で自衛隊ができる活動って、ほとんど一緒なんです

たとえば、いずれも

●活動場所は

「現に戦闘が行われている現場(戦闘現場)以外」なら戦闘地域でもOKですし

「捜索救助活動」であれば「戦闘現場」でもOKです。

●活動内容は

武力行使をしている他国軍の支援です

●武器の使用は

自己保存型だけではなく武器防護型も含まれます

そう、この2つは、ほとんど一緒なんです

ということは、不安な点や危険な点も一緒ってことですね。

例えば、

いわゆる兵站活動(戦争遂行に不可欠の供給業務)をしているので自衛隊が攻撃を受けるリスクは一気に高くなりますよね。

反対に、

やられそうになって(と思って)反撃しちゃうとか

テロリストだと思って武器を守るために攻撃しちゃうとか

自衛官が攻撃をしなきゃいけない場面にもなりやすくなっちゃうんですよね

これまで海外で発砲してこなかった自衛官が、今後は海外で攻撃をしてしまう可能性もびっくりするほど高まるんですよね。

あれ?

これって何のための法律でしたっけ?

国際平和支援?

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