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自民党がメディア規制を本気で考え始めています。顔がこわばっちゃうね。

寄稿:明日の自由を守る若手弁護士の会

2015年6月27日

報道によると、25日、安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」が開かれました。

「経団連に働きかけ、マスコミ懲らしめを」 自民勉強会

http://www.asahi.com/sp/articles/ASH6T5W6FH6TUTFK00X.html

安保法案で報道批判続出 自民改憲派の勉強会

http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015062501001696.html

出席議員からは、「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などと、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がったそうです。

講師として招かれた首相と親しい作家の百田尚樹氏は、政府に批判的だと名指しされた沖縄の地元紙(2紙)について、百田氏は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張したとのこと。

…顔がこわばるといいますか、怒りを通り越して、これは夢だろうかと思ってしまいます。

権力が、メディアをコントロールしよう、と。

権力に都合の悪いことを書くメディアを「つぶさないといけない」と。

こんなにまで、あからさまに動き出しているのです。

自由に情報が飛び交うという前提で、自由な議論をし、自由な発信をする。それが民主主義国家が民主主義国家たりえる条件です。

私たち国民が政治をしっかり考えるためには、毎日国会に通ってすべての議事を膨張するわけにはいきませんから、新聞や雑誌を読んだり、TVを観たりすることで情報をつかむしかありません。

だからこそメディアは、国民の目として耳として、しっかり権力を監視して、権力が間違った方向に進んでいるようであれば、しっかり批判する記事を書く使命があります。それは民主主義国家におけるメディアの最大の使命です。

そのメディアが、権力に都合の悪い記事を書くからという理由で規制されたら、もはや私たちは、権力に都合のいい「政府のやってることは全て正しいんだよすばらしいんだよ」という報道しか読めなくなってしまいます。本当は何が正しいのか、何が間違っているのか、考える機会すら奪われる、そこに「国民が主人公」の社会はありません。国民主権は名ばかりの、専制国家が、すぐにできあがります。

だからこそ、表現の自由が日本国憲法21条に書かれて、権力に向けて宣言されているわけです。

この勉強会(に参加された講師と議員さんたち)には、その理解がないばかりか、民意に対する敵意、「自由な議論」に対する敵意を、まざまざと感じます。

また、主権者が国民であること、その国民に奉仕するために選ばれた身分である自覚も感じられません。

ハッキリ言ってしまえば、傲慢、以外の何物でもないかと思います。

このような勉強会が開かれ、あからさまな発言があるのは、裏を返せば、それだけ国民がナメられている、ということではないでしょうか。そういうこと言っちゃっても人気は落ちないしー、と思っているから、言えるのですよね。

国民を愚弄するのも、たいがいにしてほしいと思います。

表現の自由(報道の自由)を軽視して民意を敵視する権力が、自由で豊かな社会を作れるはずは、ありません。

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