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自民党さんのチラシがすごい!なになに、『平和安全法制』だって!?ホントかな? シリーズ③

寄稿:明日の自由を守る若手弁護士の会

2015年7月21日

自民党さんのチラシによると、安保関連法案は、

「平和と安全を守る活動への支援を拡充・迅速化します」

そっかぁ、よかった!

\((^0^)/

 

…で、どんなことをするんでしょ?

「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態では、自衛隊による外国の軍隊への後方支援(補給・輸送・医療など)が円滑に行えるようにします。」

!?

 

「後方支援」って、いわゆる兵站活動ですよね。

兵站活動が戦争においてめちゃくちゃ重要であることは軍事の常識だと思うのですが…。

 

だって、後方支援がなかったら戦争できませんもの。

 

というか、後方支援があるから、戦争できるんですもの。

しかも、今回の法案では、これまで禁止されていた弾薬の補給や発進準備中の戦闘機への給油までできるというじゃないですか!

 

憲法9条1項で海外での武力行使が明確に禁止されていて、日本が武力行使しなくても他の国の武力行使と一体とみられるような活動も禁止されているんだけど、これって、まさに武力行使の一体化なのではないでしょうか。

しかも、これらの活動について、自民党さんのチラシには「戦闘現場では行いません」と書いてありますが、これまでは「戦闘地域では行いません」だったんですよね。

 

ということは、今回の法案が成立すると、戦闘地域で弾薬の補給とか戦闘機への給油なんかができちゃう!

相手国からすれば、そんなことをみすみす見逃すはずがありませんので、当然攻撃の対象になります。

 

「後方支援」って呼んでるけど、とってもとっても危険な活動なのです。

(離れた後ろ側でオニギリ握るような図をイメージしてはいけないんです。)

 

さらに、これまでは「我が国周辺の地域における」という言葉が付いていたんだけど、これもバッサリ取っちゃっています。

ですので、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」があれば、地球上どこでも兵站活動を行うことになります。

 

そして、この重要影響事態をあらかじめ類型的に示すことは困難なんだそうで、その事態があるかどうかを判断するのは、その時々の政府です。

自分の身の危険を政府にゆだねる自衛隊員のみなさんのお気持ちはいかばかりでしょうか…。

 

上に述べたような「後方支援」は、新しい法律を作って、「国際社会の平和と安全を脅かす事態」でも行えるようにするそうです。つまり、アフガニスタン戦争やイラク戦争のときには、その都度個別の特別な法律を作っていたのですが、それでは間に合わないということで、自衛隊を海外に派遣する恒久法を作ろうということ。

でも、いずれの戦争のときでも国会で大議論になったのに、あらかじめ法律を作ってしまえば、国会での議論をすっとばして危険な戦地へ自衛隊を派遣できてしまう。とっても怖いことです。

 

日本のためか国際平和のためか、入り口は違えどすることはほとんどおんなじ。

イラク戦争のときには武装した米兵を空輸して憲法9条1項に違反するという判決が出されましたが(名古屋高裁判決)、それと同様あるいはそれ以上のことができてしまう今回の法案。

 

ほんとに「平和と安全を守る」ためって言える???

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