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自民党さんのチラシがすごい!なになに、『平和安全法制』だって!?ホントかな? シリーズ④

寄稿:明日の自由を守る若手弁護士の会

2015年7月25日

自民党さん作の「平和安全法制の整備」なるチラシについて

今日のツッコミ対象は、Q「徴兵制になって、若者が戦地に送られるって本当?」に対する自民党さんの回答です。

 

→自民党さんの回答理由①「徴兵制は憲法で許されません。」

そうですよね!

ずっと政府は徴兵制は憲法18条「意に反する苦役」にあたるから許されないと言い続けてきました。

でも…現在の自民党さんは、これまでの政府見解を全てそのまま引き継いでるのでしょうか。

集団的自衛権も歴代の政府が憲法9条があるので許されないと言い続けてきたんですよね??

でも、リクツもなく、ひっくり返したわけです。

いざとなったら、今までなにを言ってこようが、憲法違反かどうか、ササっと意見を変えちゃうわけですよね。

しかも、菅官房長官が「たくさんいる」と豪語した、自民党さんの誇る安保法制(いわゆる戦争法案)を合憲と主張する学者さん3名は、徴兵制も合憲と主張してるし。。

やっぱり、そんな自民党さんに「徴兵制は憲法違反だから許されませんよ、安心しておくれ」と言われても、説得力ゼロです!

 

→自民党さんの回答理由②「近年は軍事技術の高度化によってプロしか扱えない装備がほとんど」だから、「徴兵制導入の意味は少なくなってい」る。

確かに、いつでもどこまでも自衛隊が出動&円滑に作戦遂行できるように、予め訓練を積んだ自衛官が必要になりますね。

でも、自衛隊員のなり手がいなくなったら、徴兵するしかないでしょう??

実は、集団的自衛権行使(自衛隊員が殺し殺される戦争を行う)って可能性が高まった今、防衛大学校の卒業生の任官拒否が、急増しているのです。これまで毎年数名~10名だったのが、25名にまで増えてるそうです。

今後、戦争法案が成立し、実際に自衛隊員の中から死傷者が出れば、任官拒否だけでなく、入隊希望者も激減すると思われます。(災害救助を夢見て入隊する人がかなりいますからね…)。

最新の防衛白書(平成26年度版)によれば、自衛隊員の定員に対する充足率は、幹部、准尉、曹は90%台ですが、士(兵卒にあたる)は70%程度。現在ですら、命令する上司ばかりで実際の戦闘要員となる部下が少なっ。。

http://www.mod.go.jp/j/…/…/wp2014/pc/2014/html/ns065000.html

しかも、少子化で若者は少なくなってるし。

ちなみに、イラク戦争で派遣された自衛隊員はのべ約23000名。今後も任官拒否や自衛隊員のなり手が減少していったらどうやって自衛隊員を集めるのかな?やっぱり徴兵制が必要になりますよね。。

 

→自民党さんの回答理由③「日本を含めた先進7カ国で徴兵制の国はなく、その他の国も志願制に移行しつつあります。」

たしかに、先進7か国・フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダでは徴兵制は採用されていませんし、軍事訓練のコストや若者の貴重な数年を徴兵することで学力低下、キャリア断絶、軍事訓練を受けた若者の自殺や精神疾患増加等の問題があり、その他の国でも徴兵制から志願制へ移行しつつあるというのもその通りかもしれません。

しかし、現在は徴兵制といっても、経済的徴兵、つまり事実上(社会構造上)若者が軍隊に入らざるを得ないことになることになるのでは、という心配がつのっています。

例えば、大学の授業料免除や奨学金返還免除をダシに自衛隊員を募る、経済的徴兵制。

アメリカは形式的には志願制ですが、いわゆる経済的徴兵制と呼ばれていて、極端な格差社会の下で貧困層の若者が仕事を求めて軍隊に入隊せざるを得ないというサイクルが、固定化・一般化してしまっています。

日本の子どもの貧困問題は年々悪化していて、OECD34か国中ワースト9位、6人に1人が貧困という驚異の貧困率。もし、現在審議中の戦争法案が成立すれば、国家予算のうち軍事費をさらに増加させ、その分削られるのは福祉でしょ。どんどん、子どもの貧困も進む、大学に行くために自衛隊に入らざるをえない・経済的徴兵される子どもが増える…なんてのは、とっても現実味があると思うんですけど。

あすわかでも以前から危惧しています。

http://www.asuno-jiyuu.com/2014/09/blog-post_8.html

経済的徴兵制もないって言い切れます?自民党さん??

ちなみに、7月2日にアップされた自民党さんのyou tubeアニメ「教えて!ヒゲの隊長」では、自民党さん曰く「平和安全法制について、ヒゲの隊長こと佐藤正久国防部会長が分かりやすく解説」しているそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=0YzSHNlSs9g

どれどれ…

電車で乗り合わせたあかりちゃんがヒゲの隊長に安保法制の疑問点をぶつけます。といっても、ヒゲの隊長が日本に対する脅威を焚きつけるばかりで、あかりちゃんは与野党や国会の参考人ナドナドから出ている反論・ツッコミ材料を一切持ち出すことなく、

ただただ

「ホント心配~」

「誰か守って~」

「うわぁ~怖~~い」

「隙間にモノが挟まると虫歯になるしね~(もう意味不明)」

「自衛隊さんには頑張ってほしいね!」

徴兵制については、ラストに出てきますが、とっても衝撃的なラストです。

ヒゲの隊長「徴兵制なんかも絶対あえりえない!!だって…」

あかり「あれ、もうついちゃった。もっともっともっと話を聞きたかったけど、続きはまたね、ヒゲの隊長さん。」

ヒゲの隊長「はは、お手柔らかに。」

あかり「See you~~」

…ヒゲの隊長は、な~んにも教えてくれませんでした(-_-;)。

続きはいつ聞けるのか??わざわざ安保法制(戦争法案)について国民に説明責任を果たす一環で作られたと思うんですけど。ほかの論点についても、自民党さんの主張だけで反論に対する再反論もなく。。。

経済的徴兵制も含めて、現実的な説明をしてよ、自民党さん!

ブログはこちら↓

http://www.asuno-jiyuu.com/2015/07/blog-post_67.html

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