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名護市長訪米行動を振り返る (中)

寄稿:猿田佐世

2014年7月4日

訪米コーディネートでは、講演などの企画や面談依頼先をまず検討する。日米の多くの人々とのやりとりの中で新たなアイデアが生まれ、多くの協力を得ながら実行に移していく。

今回の多数の現地メディアの取材は多くの友人の紹介で実現した。シンクタンクでの講演やラウンドテーブル(円卓会議)もその協力なしには行えなかったし、市民対象の講演会の開催には多くのボランティアが協力の手を挙げてくださった。この広がりだけでも訪米の意義があると実感する。

ワシントンで日米関係に影響力を与えうる人々は、大きく分けて三層ある。国務省を代表とする米政府、シンクタンク等の研究員、連邦議会関係者である。

シンクタンクは元政府関係者や日本専門家からなり、報告書の発表や政権担当者との人間関係、自らの政権入りなどを通じて米政府の政策に直接・間接の影響を及ぼす。議会関係者の多くは日本の問題にほとんど関心がないが、場合によって予算などを通じて強い影響力を持つ。

面談はこの三層の人々を中心に行うが、特に連邦議会については、あまり関心を持っていない層に働き掛けることになるため、メールや電話はもちろんであるが、持てるネットワークを駆使しながら各方面から接触し、またオフィスを直接訪れて訪米日程の最後の瞬間までアポ入れに尽力する。米政府・議会には世界中からのアプローチがあり、一議員であっても容易にアポが入る状況にはない。これは、沖縄に限ったことではなく、多くの日本の国会議員の訪米でも同様である。

さらに今回は、2年前の前回の市長訪米とは異なる事情もあった(前回も当方でコーディネートを担当)。現在、米関係者の間では安倍政権のナショナリスト的外交政策、尖閣・歴史問題、そして直近では集団的自衛権の行使の問題に関心が集まり「沖縄の基地問題に触れようとする人はほとんどいない」との発言すら耳にする状況であった。何ら事態は解決していないにもかかわらず、関心が薄れている状況に憤りを覚えるが、合わせて継続的な働きかけの重要性を痛感する。

ジェームス・ジョーンズ元大統領補佐官との面談

ジェームス・ジョーンズ元大統領補佐官との面談

実際に、米国の「知日派」には、辺野古移設に慎重な姿勢を示す有力者も少なくない。今回、名護市長が面談したジェームズ・ジョーンズ元大佐(元大統領補佐官)やジム・ウェブ元上院議員は辺野古案反対の意を改めて述べていたし、今回不在で面談はかなわなかったが、日本の保守派がその影響力を求めて頼りにするリチャード・アーミテージ元国務副長官も現行案以外の検討を求めている。継続的働きかけを怠らず、これらの声をさらに広げて、日米両政府の中の柔軟な立場を耕していくプロセスが必要になろう。 (沖縄タイムス 6月7日掲載)

歳出委員会所属のサンフォード・ビショップ議員との面談

歳出委員会所属のサンフォード・ビショップ下院議員との面談

さるた・さよ (弁護士、新外交イニシアティブ事務局長)

 

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