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【NPJ通信・連載記事】選挙へ行こう~自民党改憲草案と参議院選挙@2016

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本当は崩壊しているアベノミクス裏側にある安倍暴政の策謀

寄稿:植草一秀

2016年6月17日

7月10日の参議院選挙を主権者である市民はどのように戦うべきか。
世界で一番貧しい大統領として知られるウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカさんが4月7日に東京外国語大学で講演して次のように語った。
「極めて少数の者に、世界の富が集中している。生産性が高まったけれども、分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばないのだ。
「政治に関心がない」「政治は重要じゃない」と言う人がいるが、政治を放棄することは少数者による支配を許すことにつながる。民主主義には限界がある。それでも社会をよくするために闘わなければならない。
政治とは、すべての人の幸福を求める闘いである」
ムヒカさんは、「政治とは、すべての人の幸福を求める闘いである」と言われている。私たちは、この言葉を胸に刻んで参院選に臨むべきだと思う。

安倍政権は「アベノミクス」という言葉を掲げて参院選を戦おうとしているが、「アベノミクス」がもたらしたものは何か、そして、この言葉の裏側に隠されている安倍政権の本当の目論見は何か、を考えて参院選に臨むべきである。
ムヒカさんは、「分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばない」ことを政治の最重要問題であると指摘しているが、「アベノミクス」と呼ばれる安倍政権の政策運営がもたらしてきたものが、「社会的な弱者に恩恵が及ばない」という現実である。

2012年12月の衆院総選挙から数えて、今回が4回目の国政選挙になる。実は過去3回の選挙のたびに「アベノミクスの是非を問う選挙」という情報が流布されてきた。
「この道しかない」とか、「まだ道半ば」とか、「加速させるのか、それとも逆戻りさせるのか」などと言われてきたが、アベノミクスが何をめざしているのかを安倍政権ははっきり言わない。
そして、アベノミクスが成功してきたかのように安倍首相は発言している。私たちはマスメディアの情報に誘導されてしまいがちだが、真実を正しく洞察しなければならない。

安倍首相は大企業の利益が史上最高を更新したこと、株価が上がったこと、失業率が下がったこと、有効求人倍率が上がったことを「アベノミクス」成功の証しだと言う。
しかし、これだけをもって日本経済が良くなったとはまったく言えない。経済の良し悪しを測る最も基本的な尺度は経済成長率だが、安倍政権が発足してからの経済成長率は平均で0.7%である。これに対して、その前の民主党政権時代の経済成長率は2.0%である。民主党政権時代の日本経済が良かったという人はいない。しかし、安倍政権が発足してからの経済成長率は、その半分にも満たないのである。
株価が上昇したと言うが、東京証券取引所第1部上場企業の数は約1900社。日本の法人数400万社の0.05%にも満たない。
1%対99%の二極分化と言われているが、良くなったのは1%にも満たないような日本経済の上澄みの、さらにその上澄みの部分だけなのだ。失業率の低下、有効求人倍率の上昇は、就業者が増えたことを意味するが、全体のパイが小さくなり、大企業の分け前だけが大幅に増大し、残りの部分を分け合う人数が増えたということだから、一人あたりの取り分は大幅に減ったということなのだ。
これこそまさに、ムヒカさんが言う、「分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばない」ということそのものではないか。

経済全体を超低迷させる。一握りの上澄みの企業だけが利益を拡大する。
一般の労働者は、人数は増えるけれども、手取りの所得が大幅に削り取られる。
これが「アベノミクス」がもたらすものであるから、こんなものを加速させられたらたまらないのである。
安倍首相は「この道しかない」と言うが、日本の主権者の立場から言い換えれば、「この道はありえない」ということになる。
メディアの情報誘導に惑わされてはならない。

安倍政権は「本当は主権者を不幸にするアベノミクス」を、マスメディアを総動員して、あたかもよいものであるかのように情報操作して選挙に臨み、主権者を騙して議席を多数確保したら、本当の目論見に着手する考えなのだ。
その本当の目論見とは何か。五つあげられる。第一は、憲法を破壊し、憲法を作り変えてしまうこと。第二は、原発稼働を進めること。第三は、TPPに参加してしまうこと。第四は、辺野古に米軍基地を建設すること。第五は、大企業の利益だけを追求して格差をさらに拡大させること。

参議院選挙は3年に1度実施され、議員定数242の半分である121議席ずつ入れ替わる。今回の選挙で改選されない121議席を見ると、与党の議席が76議席もある。また、安保法制に賛成の勢力の議席が10あるので、合わせて86議席だ。
今回の選挙でこれらの勢力が76議席を獲得すると162議席になり、参議院242議席の3分の2を超える。この状況が生まれるなら、安倍政権は憲法改定に突き進む可能性が極めて高い。
自民党は2012年4月27日に自民党憲法改正草案を発表しているが、この自民党憲法改定案は、日本国憲法の根本原理を破壊するものであると言わざるを得ない。日本国憲法は、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を三大原理としているが、この三大原理が破壊されてしまう。

一般には平和主義を定めた憲法第9条の改定が行われるのではないかと考えられることが多いが、現実はおそらく違うものになるだろう。自民党案は、第98条、第99条に、緊急事態条項を加えている。安倍政権が最初に着手する憲法改定が、この緊急事態条項になる可能性が高い。
これは、内閣総理大臣が緊急事態を宣言することによって、内閣総理大臣、がすべての権力を掌握し、しかもその状態を永続させてしまうことを可能にさせる内容を含んでいる。
この憲法改定が実行されてしまうと、正真正銘の安倍独裁政権が誕生してしまう惧れが高い。
かつてヒトラーがドイツで全権委任法を制定し、悪魔の独裁国家を形成していったが、この「ナチスの手口」に学んで提示された憲法改定案であるとも考えられる。
このような憲法改定が強行されてしまったら、日本の民主主義は終焉してしまう。国民は暗黒の奈落に突き落とされることになる。

これ以外にも重大な問題が山積している。安倍暴政が持続するなら、私たちの日本は、文字通り急坂を転げ落ちてゆくことになるだろう。
すでに制定されている戦争法制=安保法制によって、日本が現実に戦争をする国としての現実の行動が始動するだろう。安全性が確保されていない原発が全国で次々に稼働を始めることになる。私たちの命と暮らしをむしばみ、強欲な多国籍企業の利益拡大だけを目的とし、日本のことを日本の主権者が決められなくなるTPPが発効してしまうリスクも差し迫っている。
あまりにも過重な基地負担が押し付けられ、いまなお悲劇が繰り返されている沖縄に新しい米軍基地が建設されてしまう。そして、大企業の利益をさらに拡大させるために、一般庶民の労働賃金を際限なく削減し、労働者の身分をさらに不安定化させる政策が今後も熱烈推進されてゆくだろう。

「本当は主権者を不幸にするアベノミクス」があたかも良いものであるかのような虚偽情報が流されて選挙戦が展開され、選挙結果で安倍政権勢力が多数議席を維持するなら、これらの悪政がさらに加速されてゆく。こんな、悪夢のような現実を私たちは絶対に現実化させてはならない。
そのためには、「安倍政治を許さない!」の考えを共有する市民と政治勢力が一つにつながり、この選挙を戦いぬいて、勝利を収めることが必要である。
私たちの未来は、私たちが決める!
「誰かが変えてくれる」から「自分たちで変える」へ!
この考え方ですべての主権者が選挙に参加して悪夢のシナリオを打破しなければならない。

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