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【NPJ通信・連載記事】選挙へ行こう~自民党改憲草案と参議院選挙@2016

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7月10日の参議院選を迎えるに当り, 思う事

寄稿:こでら りょう(16年3月東京大学修士課程卒業・農学)

2016年7月7日

3年に1度の参議院選挙を直前に控え, 街には候補者や政党のポスターが並び, 遠くでは選挙カーからの演説の声が聞こえる。連日テレビでは政見放送が流され, 新聞各紙も政党それぞれの主張を伝える。しかし, どこか浮き足だっているようにも感じられてならない。

その理由は何か。

近年の私たち有権者による政治不信も理由であろうが, ことさらその政治不信を助長させるかのような政治家の振る舞いが, 地に足をつけた政治など期待できなくしているのではなかろうか。

今回の参院選, アベノミクスを問うと称した改憲選挙であることは自明であろう。現在の日本国憲法改正のテーマとして真っ先に挙げられるのが, 憲法9条の改正である。その根拠として安倍首相は, 「今の憲法では自衛隊の方々が片身の狭い思いをしている」と述べ, 「集団的自衛権の行使をするため」といった説明をしている。しかしこれら論拠は, 歴代内閣が示してきた自衛隊合憲説ばかりか, 現政権が昨夏強行した安保法制を合憲とする自らの主張にさえ反する主張だと言わざるを得ない。

加えて, ちまたで言われる「押し付け憲法論」こそ改憲の最たる道理のようにも聞くが, 実際日本国憲法の制定はどのような経緯があったのだろうか。憲法の入門書を読んでみると, 日本国憲法の草案は単なるGHQの押しつけではなく, 日本の有識者たちによってかなり練られたものであったようだ。さらにその草案は, 日本の第90回帝国議会で審議・修正を経た後,公布されたという。このようにして成立した現憲法を, 「押しつけ」と言って一蹴することこそ「自虐史観」ではなかろうか。むしろ朝鮮戦争のため, 1950年に日本の議会にも上がらず, アメリカの一存で作られた警察予備隊つまり現在の自衛隊こそ「押しつけ部隊」と言える。

政治家や候補者が争点はアベノミクスだ, いや改憲だと騒いでいるが, ちょっと待ってほしい。選挙の争点は候補者が掲げるものではなく, 有権者が投票を決める際に判断する材料であるはずだ。もちろんアベノミクスも改憲もそこに含まれるだろうが, 私たちには勝手に掲げられた争点に踊らされることなく, 冷静に本質を見抜く判断力が求められている。

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