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【NPJ通信・連載記事】選挙へ行こう~自民党改憲草案と参議院選挙@2016

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子ども食堂から見えてきたものは

寄稿:柿原歌子(主婦)

2016年7月10日

今、子ども食堂は、全国で300か所近く開かれています。子ども食堂ネットワークが結成され、子ども食堂の作り方講座も開かれています。なぜこれほどまでに増えたのでしょうか?要町あさやけ子ども食堂が開店してから3年が経ちました。ここで見えてきたことから考えます。

Mちゃんは、母子家庭です。プレイパークには来ていましたが不登校でした。学校に行くことが出来ないので、子ども食堂に料理を手伝いに来てくれるようになり、やがて、お客さんが見えると小さい子に紙芝居を読んであげて褒められたり、お母さんからは「子どもと遊んでくれたから、久しぶりにご飯がゆっくりたべられた。」と感謝されたりするようになり、さらに得意なイラストが入賞しました。Mちゃんは自分の力を信じられるようになったのでしょう。遂に学校に行けるようになりました。お母さんはMちゃんの変わり方を見て元気になり、シングルマザーのための会を立上げ、支えられる側から支える側に変わりました。

次はボランティアの方です。自分の地域で子ども食堂を始めてからも手伝いに来てくださる方にとっても、要町あさやけ子ども食堂は一つの居場所になっています。子ども食堂をやりたいという20代のボランティアの方は子どもの頃から家族で食卓を囲むという習慣がなく、要町あさやけ子ども食堂で食事をみんなと一緒に作り、食卓を囲んで一緒に食事を取るという経験は得難いことだと言っています。やり残したことをもう一度やり直せる場でもあります。

見学した人から、貧困とも思えない人たちが安い価格で食事をしているのはなんだろう?と思ったが、今の貧困は、単なる貧しさではなく、地域から孤立していることが大きな問題です。地域の居場所として、子ども食堂につながりを求めて集まってきています。

子どものために何かしたい、と思って自宅を開放した山田さん自身も、新たなつながりがうまれて、店長として頼りにされています。 

子ども食堂は居心地のよい場所は居場所です。それが力を与えてくれます。必要とされる場所があるのは生きがいになります。人ひとりの力は弱くても、居場所でつながることにより勇気を持って声を上げることができます。いざというときに助けてといえるインクルーシブな社会がこれからますます求められています。

インターネットの発達で直に顔を合わせなくても人と繋がることができるようになりましたが、食べることと食べさせることを通してのつながりは、顔を合わせることでより強固になります。「同じ釜の飯を食う」という諺はまさに子ども食堂を言い当てているように思えます。

厚生労働省の発表によると子どもの貧困率(国民生活基礎調査に基づき平均的な所得の半分未満で暮らす人)は1992年12.8%から2012年16.3%へ、生活保護受給で17歳以下の子どもがいる世帯は1992年約70万世帯から2012年約146万世帯に増加していました。特にひとり親世帯の貧困率は先進国30か国のうちで最大でした。アベノミクスの税制優遇で大企業が潤えば波及効果で中小企業から低所得層の所得も増えると政府は言っていましたが、その効果はまだ現れていません。政治不信、将来への不安から企業も高所得層も消費より貯蓄資産運用に傾き、貧困層と富裕層の格差はますます広がっていると言えます。しかし、この政権を許したのは投票に行かなかった人の無関心ともいえます。苛め(いじめ)を見て見ぬふりをしているのと同じ無関心です。

政府や自治体の施策を待っていては間に合わない現実がありますが、自分にとってすぐに利益のある事をやってくれないから選挙で投票しないでは、アベノミクスは止まりません。

現政権に最も打撃を与える1票を投じましょう。

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