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【NPJ通信・連載記事】選挙へ行こう~自民党改憲草案と参議院選挙@2016

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再建される民主主義――キャンパスと、市民運動のあいだ

寄稿:梶尾圭匡(仮名)(東京大学3年)

2016年7月9日

2、3年前より数は減ったのですが、大学の中で、政治を避けて通るのが美徳と思っている人に、まだたまに出会い、そのたびにいくつかの感想をいだきます。そう言った感想から浮かび上がる問題について、私が思うことを以下に述べます。

まず第一に、政治を避けて通ろうと望んでも、果たしてそうすることはできないはずだと私は思います。大学での学問は、研究を深める分野を決める、研究の中で事象を認識する、その成果を利用するときのいずれでも、政治や経済の事情によって 影響を受けます。そして実社会に私たちが出て、あるいは研究結果を発表することによって、学問が社会に貢献するときにも、学問の利用のされかたは、政治と密接に関係します。学問が大型開発や軍需のために使われるか、生活の発展に使われるかというかたちで、自然科学であっても、人文・社会科学であっても、学問と社会の関わりに政治性が反映された事例がいくらでも思いつきます。

このように不用心だと言って彼らを批判することは簡単ですが、同情すべき、第二の問題があります。

政治が自分に何をしてくれるのかがわからない、認識できない、という問題です。まだ、参院選は、連日テレビで政策報道がされていますので、安全保障とこの国のあり方、経済と国民生活が、どう私たちの生活に影響するかは想像がつきます。もっとも同時に、大学の研究や、学生の生活や進路に関わることについて、テレビなどから情報が流れてくるのを待つことなく、どういう政策があるのか知って、教え合っていくことは必要でしょう。

これが残念ながら、地方の選挙になると、目玉政策が学生に注目されないのか、居住地に昼間はいないので恩恵を意識しないのか、自分が地方の政治とは関係ないと考えている人がいます。

でも、たとえば今度の東京都知事選は、全国でも屈指の財政的な優位性を持つ自治体である東京だから、実現できる政策はたくさんあります。学費値下げや家賃補助について、実現してほしいと私は考えますが、そのように地方政治の可能性を提示するだけでも、認識は変わると思います。

第三に、政治に求めたことが、実際に実現しないと彼らに思われているという問題があります。

確かに私たちは、市民運動や政治家への要求で、市民の多数が求めたことが、実際の政治に反映されず、実現しなかったという挫折を繰り返してきました。しかし、ここ数年をふりかえると、脱原発、特定秘密保護法、戦争法と、「実際には実現しない」という観念をのりこえながら、日本政治の問題に大きな怒りが向けられてきました。しかも近年の特徴として、問題が起きてから、市民運動に、政治に反映されるまでの時間が短くなっていることがあげられます。

3.11が起きてから、代々木公園に17万人が集まるまでに1年4ヶ月かかりました。特定秘密保護法に対する国会包囲は、強行採決の夜にピークに達しました。しかし、戦争法に対しては、衆院の審議中からどんどん怒りが高まり、それが衆院の強行採決を経てヒートアップし、全力で成立阻止の声が上げ続けられました。また、あれだけ高まった脱原発の運動が反映された2012年の選挙の前後と比べて、今、野党共闘で、政治が市民運動に大きく突き動かされていることは誰の目にも明らかです。

このように市民運動をめぐるテンポが上がることで、政治に求めても無駄にはならないと思う市民が、一人ひとりとひろがっていき、市民の声がすぐに政治に反映される、新しい民主主義を、私たちがつくっていくのでしょう。この民主主義を、誰もが実感を伴う形で参加するものにして、「政治を避けて通る」という言葉がなくなるまでが、当面の課題と言ったら、言い過ぎでしょうか。

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