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【NPJ通信・連載記事】心の免疫・体の免疫/佐藤 義之

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第4話 体温が低下すると免疫力が低下する訳(その2)

2017年8月31日

●ミトコンドリアは、細胞(細胞質)中にある小器官。
●温度依存性があり、37度で最も機能する。

ミトコンドリアの機能とは…
1)酸素とグルコース(糖)で、エネルギーと熱を産生。人体の発電所。
2)細胞の新陳代謝、古い細胞を消化、排出、即ち細胞の寿命を決定。
 アポトーシス(プログラム細胞死)を行う。
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つまり、成熟過程で不要になったり、突然変異や障害を受けて異常をきたした有害細胞を積極的に排除する生体防御の働きをする。

ミトコンドリアの歴史
 1880年に発見 ミトコンドリアと命名されたのは1889年
 1952年に電子顕微鏡でとらえる
 2000年にステン、アレニウス博士(スウェーデン)の発表
  アポトーシスにはミトコンドリアが必要
  癌細胞のミトコンドリアは正常細胞の1/4

A)体温低下によるミトコンドリアへの影響
(1)エネルギー産生の低下
●血液中の白血球、リンパ球、マクロファージ等の機能(能力)の低下。
 即ち、菌やウイルス、異形細胞や癌細胞の除去能力低下。
●エネルギー産生過程の不良により、乳酸が増加。即ち、細胞が酸性に
 傾く。そうなると、酸性組織(細胞)に、リンパ球は近づけない。

故に、免疫担当細胞の能力そのものが低下する上に、臓器の細胞が酸性に傾く為、リンパ球が近づけず、免疫にとっては二重のマイナスとなる。

(2)細胞の新陳代謝の低下・アポトーシス機能の低下。即ち、古い細胞や有
 害細胞のプログラム死のスイッチが入らない。その為、癌細胞は無制限に
 増殖することとなる。癌化は、発癌因子によって、核内のDNA構造の変化
 とミトコンドリアの減少が重なったもの。

結論:体温が低下することで免疫にとっては三重のマイナスとなる。

※ノーベル賞受賞者のオットー・ワールブルグの研究(自律神経の測定結
 果)からも、癌患者さん、発癌し易い人では「末梢血管での酸素不足」が
 明らかにされている。

B)口呼吸による咽頭の体温低下、それに続く免疫力低下
生きることは「息をする」という言葉がつまってできたものである。呼吸に気配りする人は殆どいない。諸悪の根源は口呼吸である。鼻からのどにかけては無数の空洞(副鼻腔)があって、そこを通過する間に外気とは関係なく37度近くに、また湿度100%に保たれる。

(1)口呼吸によって、乾燥した冷たい空気が直接のどにあたり、のどの体温
 が最大で0.5度低下する。のどには扁桃というリンパ節の集合体がある。
 そこには、リンパ球や白血球がたくさん集まっている。そのリンパ球や白血
 球の温度が下がると、それらの中のミトコンドリアの機能低下、即ちリンパ
 球、白血球の細胞エネルギーが減少して活性が低下する。

(2)その他、本来なら副鼻腔に吸着される菌、ウイルス、異物が直接のどへ
 到達する。

(3)更に口呼吸により粘膜が乾燥する。
 (本来、粘液によるぬめりは、そのぬめりの中に菌をとどめて、直接細胞内
  に菌が入らないようにする為の防御壁である。)

実に三重に免疫低下の原因が口呼吸によって発生する。

C)補足
●人間の体は使わなければ退化すると言われるが、口呼吸が主で鼻腔や
 副鼻腔を使用しない場合、鼻の機能は低下する。実は鼻の奥にも扁桃組
 織があって、副鼻腔で吸着した菌やウイルスを処理しているのである。

●菌には常在菌と病原菌という分け方があるが、免疫力が低下すれば、常
 在菌によっても病変は発症する。自分自身の免疫力で常在菌と病原菌が
 分かれるのであって、菌自体にその区別はない。

●今回は免疫の話なので、白血球やリンパ球のミトコンドリアの機能低下か
 ら、免疫力低下という内容になっているが、ミトコンドリアは体中の細胞に
 存在する。

●寝不足で骨休め不足になると、骨髄細胞のミトコンドリアが減少し、骨髄
 細胞の造血機能が低下するということになる。

●心臓の血管に血栓が詰まって、心臓の細胞に酸素が不足すると、ミトコン
 ドリアの機能は低下し、エネルギーを産生することができず、心臓の細胞
 は死んでしまう。これが心筋梗塞である。

●寒い日などは手がかじかんで、手指の動きが鈍くなるが、これも寒さの為
 に手指の血管が収縮し、血流が減少、手指の細胞に酸素が行かなくなり、
 細胞内のミトコンドリアが機能低下となり、筋肉細胞がエネルギー不足とな
 って動きが鈍くなる。

「免疫」という言葉には、何か漠然としたイメージがありますが、分析してみますと、細胞レベルでは「ミトコンドリアの作用」ということになります。

とにかく、体温の低下は免疫力維持に関してはまずいということです。

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