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【NPJ通信・連載記事】練馬自衛隊基地ウオッチング~ダイコンと基地の街~/坂本 茂

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no28 「銃刀法」 違反告発 PAC-3ミサイル配備 練馬・朝霞駐屯地をめぐる30日間の記録

2014年5月6日

  4月10日、昨年4月にあった練馬駐屯地祭で、自衛官が市民に銃を扱わせたのは 「銃刀法」 違反だとして、 都内の市民団体 「自衛隊をウオッチする市民の会」 が当時の田中直紀防衛大臣などを東京地検に刑事告発をした。

石の上にも30年
陸上自衛隊のトップである階級章に星4個付けた君塚栄治陸上幕僚長は翌日目が覚めるとルール違反に気がついたのか、 記者会見で 「告発されている事実を踏まえ、銃は展示するだけにする」 と述べた。
練馬区や全国の駐屯地周辺では様々な考え方の人々によって市民運動が行われてきている。 長い間闘ってきた市民運動が君塚栄治陸上幕僚長の画期的な発言を引き出したものだと想像する。
あせらず あわてず あきらめず
憲法や法律を生かした今回のような闘いはますます全国に波及するであろう。
昭和の時代からおもちゃ感覚で銃を子どもたちに触らせてきた
いつから駐屯地祭で武器を市民に触らせる行為を始めたのか防衛省内局広報課へ尋ねると 「昭和の時代から」 と説明した。

全国の陸上自衛隊では毎年約 120ヶ所で国民の血税を使って、練馬駐屯地創立記念行事のような 「駐屯祭」 が実施されている。
日本中で行われている 「駐屯祭」 とは一体どのようなものか。
マニア向けの雑誌は 「耳栓を用意して 迫力ある火砲の訓練展示を堪能しよう!」 「銃器類の展示は実施に手に持って見ることができる」 と読者を駐屯祭に誘う。

練馬駐屯地祭は住宅密集地のど真ん中で155ミリ榴弾砲という大きな大砲や戦車砲の空包発射が実施される、 隊員は子どもたちに本物の機関銃を触らせ標準を定めた撃ち方やレンジャーの綱渡りまで教える、 デイズニーランド感覚で戦車やミサイルが巨大なジャングルジム化している。
毎年、練馬駐屯祭の準備訓練で数日間、大砲の空砲発射、大きなヘリコプターが駐屯地地上スレスレに何度も飛ぶ、 たまりかねた近隣住民からの騒音苦情が練馬区役所に短時間に殺到する。
もっと大掛かりな朝霞駐屯地で実施された平成22年度中央観閲式には13日間に212件の苦情が自衛隊へ寄せられた。

わかっちゃいるけどやめられない駐屯祭なの? 無駄と違いますか!
昨年実施された第一師団創立50周年・練馬駐屯地創立61周年記念行事の目的は 「歴史と伝統を顕示し、自衛隊に対する理解と信頼を深める。 併せて隊員家族等の理解を促進し士気の高揚を図る」。さらに、広報渉外計画の目的や渉外業務は 「苦情対応(特に騒音)に関する 『Q&A』 を準備し、 適時適切に対応する。」 と第1師団一般命令第27号(情報公開文書)に書かれている。

防衛省へ質問状
3月28日 「自衛隊をウオッチする市民の会」 は、4月14日に実施される練馬駐屯地祭での装備品展示に関して防衛大臣宛に  ① 小銃などを触らせることは銃刀法に違反すること ② レンジャー訓練体験はジュネーブ条約と児童の権利条約に抵触することに関する質問状を送付、 4月5日までに回答をするよう求めた。翌29日に防衛省に質問状が到達した。


駐屯地交渉 何を質問しても 「わからない」
4月5日
本日は回答日だが防衛省から返事がない。
   8日
練馬駐屯地の正門に入ると 「規律維持」 と大きな字で今月のスローガンを掲げてあった。
午前11時30分より練馬駐屯地業務隊司令業務室の隊員と市民8名が35分間陳情した。
(1) 迷彩服を着用しないこと
(2) 一般市民に小銃や機関銃などの武器を触れさせないこと
(3) 子どもを対象としたレンジャー訓練体験を中止すること
(4) 装甲車や戦車等の車両行進、ヘリコプターの飛行、戦車等の試乗を中止すること、特に戦車の空砲発射を行わないこと
事前に提出した質問書に対して練馬駐屯地業務隊司令業務室は何を質問しても 「わからない」
「わからない」 と言いながら大砲発射はやめますと画期的な
隊員の発言に拍手

20回 「わからない」 を連発した。唯一言った言葉は 「私が承知しているイベント内容は昨年やった空包は今年は無しで考えている」。
18年間練馬駐屯地と交渉しているが 「わからない」 発言は初めてだ。

1995年2月10日、東京平和委員会は防衛庁(当時)交渉において、内局の施設対策第2課(当時)は 「練馬駐屯地に関する要求は地元の練馬駐屯地業務隊司令業務室の千原3佐だ。」 と回答している。

自衛隊にとっておめでたい行事で迷彩服の姿で子どもたちと触れ合ってほしくない。小さな子どもたちの前で母親として心配している、 銃を触らせることも迷彩服も避けていただきたい。母親の切ない願いです。返事だけはください。
法律に違反してでも実施するのか。答えが欲しい
「わからない」 を繰り返す。
交渉から30分が過ぎ 面会所の外ではお昼のラッパが鳴っている。
いつまで回答いただける。うやむやにしないで。
国民の声を聞いて上級部隊へいつ持って行ってどのような回答があったか報告していただきたい。
うつむき加減に「わからない」の返事がかえってくる。
交渉35分経過した。

救いの手登場
面会室のドアが開いて部下が大きな声で
「室長! 東部方面隊から至急の電話が入っております。」
電話終わったら回答してくれますかの参加者の質問に、「わからない」 と言い残した。
それ以来、隊員は面会室に戻ることはなかった。

交渉直後、参加者は駐屯地へ提出した要請書を持って、誠実に対応しない練馬駐屯地について練馬区教育委員会庶務係長と総務係長へ相談した。
練馬区総務係長から 「区民からの要望は尊重してくださいと練馬駐屯地広報へ申し伝える。」 と力強い答えを得た。 後日、練馬区防災課渉外係へ相談し 「自治体と住民とのホットラインとして、駐屯地へ住民から問い合わせがあったなら丁寧に住民と接してくださいと、 上司と相談して駐屯地へ情報提供したい」 と、誠実な対応がかえってきた。

空自 「PAC-3ミサイル事故が起きたら消火器で初期消火?
:国民の生命安全守る」

4月9日
本日未明、朝霞高校と新座総合技術高校にはさまれた朝霞訓練場へ、 入間基地(第4高射隊)所属のPAC-3(ペトリオットミサイル)2機が北西上空に向け配備された。
広大な面積の朝霞訓練場は草むらも多くヒバリの声が響き渡っている、朝霞訓練場警備は32普通科連隊(埼玉県さいたま市)の隊員たちの任務だ、 眠い目をこすり大あくびしながら 「寒いな~さあ準備に取り掛かるか~」 と重い腰をあげていた。
朝霞訓練場内を軽装甲機動車に乗った完全武装の隊員が警戒している、もちろん機関銃を構えているのだが、 私がPAC―3ミサイルの写真を撮影しても何度も見て見ぬふりをして通り過ぎる、なんとのんびりしたムードが漂っているではないか。
練馬区防災課庶務係は私に 「配備されたんですか、朝霞から何も情報提供ないですよ、朝のテレビでまだ見てません、 駐屯地に聞いてみる」 と困惑気味だ。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が弾道ミサイルを発射するなどの不側の事態に備え、政府は4月7日 「破壊措置命令」 を発令した。 防衛省は手の内は明かさないと言うがNHKテレビや民放などへは先走って 「PAC-3ペトリオットミサイルが配備されますよ、カメラ構えて」 と、 自治体より早く情報提供していた。
昼間のニュースでは上空から朝霞訓練場に配備されたPAC-3ペトリオットミサイルを映し出していた。
練馬区や新座市など関係自治体へ防衛省から連絡が来たのは1日遅れの10日であった。 練馬区防災課庶務係は 「住民からの問い合わせが来たら防衛省の電話を教えていただきたい。」 と朝霞駐屯地からあっさり連絡があっただけだと言う。
13日、PAC-3ペトリオットミサイルの暴発事故が起きたらどうすればいいのか航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)当直司令へ訪ねると、 「朝霞や市ケ谷などは安全装置がかけてあるから発射しない、安全だ。入間基地の安全体制は消防隊(赤い車両)を配備している。 朝霞訓練場などに配備した高射隊には消防隊は一緒ではない、消化器で初期消化を心がけている。 夜は寒いのでドラム缶に軽油を使って所定の場所でストーブをたく。火気とミサイルは離してある」 こんな意外な説明であった。


悪事千里を走る
  10日
「自衛隊をウオツチする市民の会」 は東京地方検察庁に告発状を提出。東京地方裁判所司法記者クラブにて記者会見を行った。 NHK午後6時と9時のニュースなどで “催しで市民に銃” 刑事告発 市民団体の会見と、全国に流れる。 そのほか東京新聞・朝日新聞・しんぶん赤旗で取り上げられる。
4月11日
君塚栄治陸上幕僚長は 「告発されている事実を踏まえ、銃を展示だけにする」 と発表した。
  12日
未だに駐屯地から質問への回答がない。私は練馬駐屯地業務隊司令業務室の隊員へ 「駐屯祭まで2日だ、当日の武器の取り扱いをどうするのか? 君塚陸上幕僚長は11日の記者会見で述べている、聞いているか。」 隊員は 「記者会見もわからない、中身もわからない、 当日と異なることを言うと困るので行事については駐屯地広報か師団広報へ聞いてくれ」。 私は 「住民の窓口はあなただ。あなたに聞いている」 と問いかけても隊員は 「わからない」 とつぶやくだけだ。

全国各地の駐屯祭で市民に武器触れられないようになる
  14日
いよいよ練馬駐屯祭当日。上官の命令によって、小銃などの展示はしたものの鎖につながれ市民の手に触ることはなかった。
星のたくさん付いた隊員たちは、北朝鮮のミサイルなんて何のその 「隊員家族等の理解を促進し士気の高揚を図る」 と部下に言いながらいっぱい飲んでいい気持ちになっている。


  17日
練馬駐屯地からまだ 「回答」 が届かない。
防衛省陸上幕僚監部広報へ練馬駐屯地の市民に対する対応の悪さを相談する。 広報官は 「伝えたことは練馬駐屯地の担当官に連絡し担当官から貴方へ連絡させる」 と約束した。

上官の命令で 「わからない」?
  18日
練馬駐屯地業務隊司令業務室から私の携帯電話に留守電が入っていた 「練馬駐屯地司令業務室長の○■です、 先般いたいただいた質問状と要請書の問い合わせの件です、窓口は防衛省内局内閣官房広報課に問い合わせ下さい。 以上です失礼します」 という、練馬から市ヶ谷の防衛省へ聞けと言うたらい回しの伝言であった。 私は改めて防衛省陸上幕僚監部広報へ 「練馬駐屯地の住民対応の窓口の責任を問う、たらい回しは止めよ、 もう一度私たちへ直接練馬駐屯地が責任をもって回答するようやり直せ」 と忠告すると、 防衛省内局内閣官房広報課は 「上司の命令が練馬駐屯地の担当官のそのような対応だったのかもしれません…了解しましたもう一度上部へあげます」 と述べた。
  23日
私は練馬駐屯地業務隊司令業務室へ 「5月9日か15日どちらかの日程で回答をお聞きしたい、 さもなければあなたの時間のある日を教えていただきたい」 と問うと、隊員は 「1分も時間が空いていない。 交渉日程はわからない」 と言いながら電話で30分間も潰した。
4月24日25日26日30日、月が変わって5月1日2日と毎日毎日、 防衛省陸上幕僚監部広報の皆々様と相談しているが一向に私たちのところへ練馬駐屯地から 「回答」 も交渉日の日程も届かない。 ゴールデンウィーク前に回答して欲しいと嘆願しているが…。
5月5日
ついぞ本日まで練馬駐屯地から 「回答」 や交渉の日程の日取りは来なかった。
今日も朝霞駐屯地ではヒバリが高く舞いミサイルを眼下に見て鳴き続けている。
小学生はサッカーの試合、朝霞高校のプールでは水泳の競技に夢中だ。
訓練場内ではミサイルが撃ち込まれようが、毎日土木工事が進められている。
国防軍に変わって欲しくないと思っても隊員たちは見えない敵に向かって消火器を片手にお仕事中だ。「やがて1ヶ月だ、まだか~…」

反怖(たんぷ)謙一 第1師団長 陸将は隊員たちに叫んでいる
隊務運営のモットー  根を養えば 樹は自ら育つ
隊員への要望希望ABC
A:あたりまえのことを
B:ぼんやりせずに
C:ちゃんとやれ

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