NPJ

TWITTER

RSS

トップ  >  NPJ通信  >  練馬自衛隊基地ウォッチング 日米軍事演習の最大の敵は「汚物」

【NPJ通信・連載記事】練馬自衛隊基地ウオッチング~ダイコンと基地の街~/坂本 茂

過去の記事へ

練馬自衛隊基地ウォッチング 日米軍事演習の最大の敵は「汚物」

2014年10月22日

「少数の者を長期にだますこともできる、多数の者を短期間だますこともできる、多数の者を長期間だますことはできない」。リンカーンの言葉だ。

2014年11月から国民保護訓練と称して住民をだまし、日米の大演習が始まろうとしている。10月2日、日米合同委員会において、日米共同訓練を実施するため、11月10日から12月20日まで、朝霞駐屯地(陸上自衛隊:東京都練馬区、埼玉県朝霞市など)の一部土地などを米軍が使用することが決まった。

この軍事演習の名称は、平成25年度日米共同方面隊指揮所演習(コードネームは「ヤマサクラ67」、ヤマ=米軍、サクラ=自衛隊、67=日本とアメリカ本国の演習回数を表す。自衛隊と米海兵隊など約6000名が参加)と言う。

共同演習のシナリオは明らかではないが、かつて米軍のホームページに「日本に強力な敵が攻め込んでくるが、自衛隊は手をこまねいている。あてにする米陸軍などに応援を頼む。兵力はたいしたものではなかったが、最後は敵軍を包囲・殲滅する」というシナリオが掲載されたことがある。このシナリオは、当時の防衛庁が「ホームページから消して欲しい」と、米軍にお願いしてホームページからすぐ削除された。

なお、朝霞駐屯地の周辺自治体へ一切情報提供がされないまま、すでに2014年3月25日から30日まで米軍人など100名が参加した構想策定会議(CDC)が、4月14日から18日まで第一回準備演習が実施されている。

日米共同演習の準備:施設科の隊員による米軍などの大型テント設置。テント周囲は有刺鉄線で仕切られている(筆者撮影)

日米共同演習の準備:施設科の隊員による米軍などの大型テント設置。テント周囲は有刺鉄線で仕切られている(筆者撮影)

防衛省は演習本番に向けて厄介な二つの事件を抱えている。

一つは、本年6月25日午後、和光市周辺での100ミリの集中豪雨のため、朝霞駐屯地で一番低い、すり鉢状の底にあった浄化槽(雨水以外のトイレ・風呂・食堂から出る汚水処理をする)に雨水が流入し、水没して電源が喪失。このため、汚水が越戸川(こえどがわ:埼玉県和光市及び朝霞市を流れる一級河川、朝霞駐屯地が水源。荒川水系で新河岸川の支流である。)へ、11日間にわたって流出し、越戸川上流周辺に悪臭を撒き散らした事件である。

6年前(2008年)の12月、5700人が参加した日米共同方面隊指揮所演習のときも、朝霞駐屯地内の浄化槽が容量を超え、住民は米兵たちの「糞」に悩んだ過去がある。それにもかかわらず朝霞駐屯地では浄化槽の容量を増やしていないのだ。

もう一つは、2013年8月6日、朝霞訓練場で発生した5.56ミリ機関銃の実弾紛失事件である。新聞報道はなかったが、今年1月、陸上自衛隊練馬駐屯地(東京都練馬区北町)の自衛官の日本平和委員会への内部告発で明らかになった。

2013年10月にテレビ報道されたように、陸上自衛隊東富士演習場(静岡県)でも自衛官が89式自動小銃を紛失する事件が発生している。しかし、両事故とも未解決である。この紛失した弾を小銃に装填すれば人を殺せると幹部自衛官は証言するが、昨年の8月6日以降は、朝霞駐屯地から周辺自治体に実弾紛失事件に関する事後報告が全く無い。

ここでは、“糞”の問題に焦点をあてることにしよう。

前述のとおり、2014年6月25日午後の集中豪雨で越戸川などが溢れ、和光市と朝霞市では床上浸水74件、床下浸水105件の被害が生じた。越戸川上流の民間駐車場では、車両15台全てが被害にあった。

住民たちの被害はこれにとどまらなかった。地元住民たちは、「ウンコ臭いぞ。何とかしろ」と初めて声をあげた。越戸川上流の自治会長は、「6年前のアメリカ軍の時は、住民は何も言わなかった。だが、今回は違う。住民みんなで市役所へ電話をした。私は和光市役所へも行った。その後、家に役所と自衛隊が説明にやって来た、自衛隊が悪臭発生に関するビラを持ってきて、回覧板に入れてと言ったが、緊急に対処すべき問題だとして断った」と話す。

結局、自衛隊はその後、越戸川上流付近130世帯にビラ入れをした、8月6日までの3回全戸配布をした、自衛隊は当初ビラが届かないという住民の苦情を受けて280枚にビラを増やした。

越戸川上流で民生委員をしている女性は、「数年前のアメリカ軍のとき、この辺はすごい悪臭だった。その時、自衛隊からは何の説明もなかった」と怒りを込める。

83歳の女性は「私は50年もここに住んでるのよ。自衛隊っていざとなっても役に立たないわよ。住民に謝りもしないじゃない。憲法で私たちの生活は保障されているはずなんだけどね…」と嘆く。

別の自治会長は「目の前の自衛隊がなぜ我々を真っ先に助けないのか」と自衛官に質問したところ、「我が部隊は東京都民の救出が任務であります」と情けない説明をされ、がっかりしたと話す。

越戸川上流の坂道では、女性たちが「コバエが網戸から入っちゃうので窓も開けられなかった。洗濯物の臭い匂いが取れずにダメになっちゃった。そうそう、オスプレイって高いんでしょう?1機100億だって?そんなお金があるなら浄化槽なんとかしてよ」と井戸端会議で怒りをぶちまけていた。

タマ~ヤ~

一方、7月16日、朝霞駐屯地では自衛隊員が出した「モノ」で悪臭を地域住民に撒き散らしていたことも忘れ、住民サービスと銘打つ「自衛隊花火大会」が強行された。隊員たちは家族揃って、部隊の仲間たち同士でビールをガブ飲みしていた。

なんとものんきな光景のように見える。もしかしたら、自衛隊トップでもある安倍さんの、集団的自衛権行使容認の7月1日の閣議決定に文句も言えず、やけ酒を飲んでいたのかもしれないが、定かではない。

このような事態について、和光市は、「自衛隊には事故報告書の提出を求め、生放流は環境基準を上回るのでやめてくれと要望し、悪臭発生の説明のビラは回覧板ではなく一軒一軒、丁寧にまいてくれと頼んだ。自衛隊は(トイレを使うと汚水が増えるので)仮設トイレを100個ほど設置し、浄化槽と火薬庫の間に貯水池を掘ってバキュームカーで汚水を処理した。埼玉県西部環境管理事務所が6月27日に悪臭漂う朝霞駐屯地へ行政立ち入り調査を実施し、7月3日、浄化槽停止の行政指導後7月5日に浄化槽の停止に踏み切った」と苦情を寄せた市民らに説明した。

7月29日の埼玉県基地対策協議会要望活動において、松本武洋和光市長は陸上自衛隊朝霞駐屯地の汚水処理施設に対する改善要望をした。

9月17日、和光市長は、和光市議会において吉田けさみ市議(共産)の質問に対し、「自衛隊の浄化槽の電気設備は原発事故と全く同じ構造だ。これはやはり対応していただきたい」と答弁している。なお、6年前の悪臭問題のときに追及したのは吉田市議くらいであったが、今回はあらゆる会派が追及している。多くの住民の声が、和光市議会を動かした。

また、埼玉県西部環境管理事務所は、筆者に以下のような説明をした。

「朝霞駐屯地の浄化槽は、川越街道の脇、自衛隊駐屯地の地表より数m低い一番低い位置、すり鉢状の構造の浄化槽の真下に電源がある。浄化槽東側のコンクリート製の小屋だ。集中豪雨により電源である配線・モーター・ポンプ・配電盤のすべてが駐屯地内の雨水の流入や越戸川の逆流により水没し全電源が喪失した。家庭で考えればブレーカーが壊れたと思えばいい。」

「小屋の西側にグリーン色をした屋根のカマボコ型の抜気槽が4棟ある。ここに電気で空気をポンプで動かして、微生物(今回電源喪失ですべての微生物が死んだので種汚泥=活性汚泥を入れ替えた)を入れたばっ気槽内で微生物が汚物を食べて無害にし、匂いなどを消して水と二酸化炭素などに汚水を分解する。次にもう少し西側のオープン型の屋根なし沈殿槽があるが、そこの上積みに次亜塩素酸ナトリウムを入れて大腸菌などを殺し川越街道の真下にヒューム管(自然勾配)を北方向の越戸川へつないで放流するシステムだ。」

「11月から実施される日米演習では人数が増える。朝霞駐屯地の浄化槽は大きな施設なので監督責任は埼玉県西部環境管理事務所である、よって、朝霞駐屯地への立ち入り検査は通常年一回だが、今回は特殊の例で水質汚濁防止法及び生活環境保全条例に基づき立ち入り調査を計画し、排水の規制・監視を行う。」

埼玉県西部環境管理事務所は「老朽化した自衛隊の浄化槽は補助電源も無い。越戸川の逆流防止装置も無い、今度水が出たら土嚢を積むか排水ポンプで雨水を調整池に送るしかない、6年後、朝霞駐屯地で予定されている東京オリンピックも心配の種だ」と答える。

駐屯地で一番低い土地、すり鉢状の底に浄化槽の中心のある電源の入った茶色の建造物を含めポンプ・ばっ気槽などここにある全ての施設が水没し電電喪失した(筆者撮影)

駐屯地で一番低い土地、すり鉢状の底に浄化槽の中心のある電源の入った茶色の建造物を含めポンプ・ばっ気槽などここにある全ての施設が水没し電源喪失した(筆者撮影)

2014年8月29日に続き9月26日、練馬区役所は防衛省より平成25年度日米共同方面隊指揮所演習(YS67)に関して口頭で情報提供を受けた。

住民や和光市などから要望のあった「悪臭問題」が争点になっている。

練馬区へ来庁した東部方面総監部装備部施設課統括班(朝霞駐屯地)によれば「汚水処理で前回の轍を踏まないよう、簡易トイレを前回よりも増設し、シャワーや台所(洗濯)など水道の制限を心がける」と説明した。なお、私が9月29日、同班に尋ねたところ「6年前から浄化槽のキャパは増やしていない、YS67対応も含め浄化槽の修復工事はまだ続いている。」と答えている。

朝霞駐屯地は練馬区民などの要望を受け9月18日、周辺町会・自治会へ演習時期や参加部隊などを記した日米共同方面隊指揮所演習のお知らせビラを周知した。

例年、日米共同方面隊指揮所演習の実施に当たっては朝霞・新座・和光の3市長の連名により、市民の不安解消と安全確保のため十分配慮すること、情報は適時提供し、市民等の問い合わせに対し迅速かつ的確に対応すること、緊急事案への対応策、緊急連絡先等を整備すること等の要望書を作成し、防衛大臣及び北関東防衛局長に要望を行っている。

今回の一件について、1970年の暑い夏 米軍の糞に住民立ち上がった占領下を象徴する事件が参考になる

グラントハイツ米軍基地の北側(進駐軍とその家族が住むアメリカの基地。今は練馬区の光が丘公園になっている。旭町2丁目)の谷になっている米軍の汚水処理場。

1200世帯の家族が毎日出す汚物がそのままプール2面のばっ気槽という大きな溜池に貯蔵され、天日に頼ってバクテリアが分解するのを待って流す方式のものだ。それを白子川に流していた。悪臭は日本人の生活の場を直撃した。

日本人の100軒くらいの建売住宅がその真上にあり、汚物は丸見えのうえ、匂いが凄まじい。網戸からも入る目に見えないくらいのハエが発生する。大変だということで主婦を中心に住民運動が起こった。

大政党に陳情に行ってもけんもほろろに「国のことだ」として受け付けてもらえず、テレビ朝日の桂小金治アフタヌーンショーにまで訴えても、米軍への抵抗はとても無理だった。住民たちは最後に共産党に相談に行った。

現地の主婦は「敗戦から立ち上がり我がスイートホームを手に入れた。でも、自分たちの甲斐性がないからこんな所にしか家が買えないのだ」と言いながら泣いていた。夕食時、灯りをつけると小さなハエが網戸越しに入ってきて、ビールの泡や、切っているキャベツに飛び込んでくる。すごい匂いを伴った真っ暗闇での夕食であった。

青柳盛雄さん(共産)が練馬区選出衆院議員となり、住民58名と防衛施設庁に交渉に行った。

青柳さんは「あなたたちは日本人でしょう、もし、日本人が住んでいてその便の匂いが米軍の宿舎にいったならば、あなたたちは一日で直させられるでしょう、米軍の糞で日本人が悩んでいるから全然直らない。あなたがたは日本人かアメリカ人かはっきりしなさい」といいました。

調査官はウーンとうなった。

そして調査官も変わってきた。「米軍には言いたいことが山ほどある」と調査官は言い出した。

「横田基地に住宅が建っているが、米司令官の命令で和風庭園付きの何LDKかの設計図を描くと、その日のうちにやり直せと言われた。どうしてかと聞くと、司令官の奥さんがお気に召さないというのでダメだというんです。これには頭にきた」。こう言ってるうちに「日本人の利益を守ることを貴方がたはやっているのだから何とかしましょう」ということになった。

次年度(1971年度)予算でこれを直そうとなった。

交渉は1970年10月16日、11月26日、1971年3月3日の3回。「防衛施設庁の予算は少し余っている、それらをなんとかかき集めて年度内にやりましょう」と言ってくれた。

本当は1971年ころに直る予定だったが直らない。住民らが抗議したら、「ストップ」をかけた人がいた。自民党の国会議員だった。この年に選挙があるので、共産党の成果になるとまずいと直感したのだろう。

ようやく工事が再開されたのは7月5日であった。

共同演習には約6000名の自衛隊員や米軍、さらに台所や洗濯・雑役要員にアメリカからコックさんや通訳、自衛隊でもアルバイトを雇う、朝霞駐屯地の自衛隊員だけでも3500名だ、マスコミも取材にやって来る、老朽化した浄化槽は無理がある。

集中豪雨で朝霞駐屯地はNBC対処(核・生物・化学兵器)の部隊や研究本部や浄化槽の隣は火薬庫だ、駐屯地内の雨水やアスベスト・PCB・放射能・鉛などが浄化槽施設へすべて流れ込んだのではないか、さらに越戸川の生物の影響や人体に対する影響はどうなのか。

また大水が出れば浄化槽は間違いなく水没し電源喪失するだろう、自衛隊員による人海戦術の土嚢積みにも限界がある。

拝啓 防衛大臣 殿

日本人の利益のために皆様頑張ってください。

防衛費をかき集めて浄化槽への市民の不安解消に努力してください。以下2点を要求します。

① 越戸川の逆流弁の新設

②  陸上自衛隊朝霞駐屯地にある老朽化した浄化槽の地表部への全体の底上げ

こんな記事もオススメです!

第60回 都議選と、同日に開催したコンサート報告など

第2話 近代西洋医学の盲点

(45)日本の将来のためにオールジャパンで水を守れ!

メディアの使命とIOC改革