2013.6.14更新

練馬自衛隊基地ウオッチング〜ダイコンと基地の街〜

練馬平和委員会 坂本茂
目次 プロフィール
No.28

防衛省お散歩 PAC3に火の用心

  水無月のとある日。旧日本軍の不発弾より怖いペトリオットミサイルPAC3を見た。
  歌舞伎町方向に向けられたPAC3ペトリオットミサイルが配備された防衛省界隈をおそるおそる散歩した。
  PAC3はミサイルを撃ち落とすミサイルだ。爆発したら? 発射したら? 以下のQ&Aをお読み下さい。

住民などが質問した役所 回答
入間基地当直司令(4/13) 消火器で初期消火を心がけている。夜は寒いのでドラム缶に軽油を使って所定の場所でストーブをたく。火気とミサイルは離してある。
防衛省運用企画局事態対処課(2009年6/2、衆院第2議員会館レクチャーなど) 国民の皆様 「平素の普通の生活を送ってください、自衛隊なり警察なり消防なり万全の体制を整えた」。 PAC3が発射された場合窓が割れるので閉めとけという報道の問いに 「配備した場所から住宅までかなり距離がある影響なし」。 安全の根拠の問いに 「規則も決まりも基準もない」。高層建築物が障害になると報道の問いに 「米軍はニューヨークなどの都心に展開しない。 しかしPAC3のシステムは日本の市街地にきちんと運用できる装備品である」。 PAC3が配備された朝霞駐屯地の幹部自衛官は 「朝霞訓練場等使用管理規則」 を準用するとの問いに 「今回演習で入ってるわけではない、 まさに緊急な命令でやっている、規則? そんなものはつくらない」。 発射後の煙についての問いに 「大気中に速やかに拡散され、周辺のガスが滞留することはない。 発射したガスについて米側は塩化水素・一酸化炭素等だという。急激に塩化水素を大量に吸うと呼吸停止や一酸化炭素中毒になる」。 「防災規定」 のようなものがあるのかの問いに 「防災規定規則なりマニュアルはあるわけではない」。 PAC3の配備・運用(発射)に関して、自衛隊は 「安全マニュアル」 を所持しているのかの問いに 「自衛隊の安全マニュアルは把握してない」。
防衛省運用企画局事態対処課(2013年5/20) PAC3発射に対しては工作物を置き住民に危険を及ぼすことはない。塩化水素や一酸化炭素が主成分で直接大量に吸えば中毒になる、 風向きもあるが、やがて時間がたてば飛散して薄まるので周辺の環境に影響しない安全だ。 PAC3から100m以内は立入禁止区域にしてある危険はない。朝霞にはPAC3の周りは土手もあるので安全だ。(実際土手など無い)
東部方面総監部(朝霞駐屯地)地域連絡調整課(2009年3/26) 練馬区役所総務課へ安全距離を2kmと回答。
経済産業省(5/20) 「民間企業が製造・搬入している期間は通常の弾薬やロケットなどと同様に火薬類取締法が適用される。 しかし、自衛隊などへ納入が完了すれば自衛隊の規則で貯蔵・運搬(朝霞や市ヶ谷へ部隊展開)消費などは自衛隊の規則が当てはまる。 火薬庫は雷管や起爆の爆薬は別個の部屋に入れ爆発しにくい構造になっている。 PAC3も電機通電・発火・温度・湿度も扱いにくい構造になっていると思う。 市ケ谷などにPAC3が配備されている現時点の状況は火薬類取締法でいう 「消費の途中」、準備中・すぐ使いかけている使用できる状況だ。
練馬区役所(4/24) PAC3に関して防災の体制など上から何も指示がない。
練馬区石神井消防署大泉学園出張所 2001年の9・11の同時多発テロの時は非常事態の最高レベルだったが今回は通常だ。
光が丘警察署三原台交番 通常警備だ。


  防衛省7不思議
  JR市ヶ谷駅を下車、靖国通りから江戸城外濠を渡る市ヶ谷橋にさしかかると、左手に防衛省の通信鉄塔が見える。
  市ヶ谷橋を渡り外堀通りを右に曲がり、防衛省を右回りにお散歩をはじめる。マクドナルドを左に曲がり 長い急な左内坂にさしかかった、汗をフキフキ上っていく。
  長い坂の先には東京で自衛官を募集する元締め、自衛隊東京地方協力本部の塀に何やら赤いのぼり旗が?

1 季節はずれ “火の用心” のぼり旗がゆれている
  粋な街だ。政府がこれみよがしに配備したPAC3に対抗したのか? 新宿区牛込消防団の牛込防火防災協会が設置した季節はずれの火の用心ののぼり旗がそよ風に揺れている。 隣には防衛省の所在する市ヶ谷本村町の町会掲示板だ、立派なガラスケース入の火の用心のポスターまである。 こうして街を上げて “PAC3ミサイルなんかに負けないぞっ” と洒落っ気のある江戸っ子の心意気が伝わってくる。

火の用心、左手はPAC3の配備されている防衛省のフェンス、写真の男性はPAC3を横目で見ながら防衛省左内門(裏門)へ歩いて行った。 右手の大きな茶色のマンションは野田毅元自治大臣(自民)のお住まい
  さらに数十m歩くと防衛省の裏門である左内門が見えてきた。 アツ〜 門から20m先に “警備強化実施中” と書かれた立て看板の向こうに愛国者ペトリオットミサイルPAC3(航空自衛隊習志野分屯基地所属)が、 そこから数十歩の所に防衛省庁舎E2棟が見える。通りがかりの元派遣社員に声をかけると 「最新兵器PAC3と火の用心は結びつかない、 のんびりしてるよね」 とあまりの政府のバカバカしい対応に驚いていた。
  私の後ろは高級分譲億ションの市ヶ谷グランドマンションだ、野田毅元自治大臣(自民)のお住まいのはず。野田さん! 危なくないのか?

左内門から撮影したPAC3、後ろは防衛省E2棟庁舎

2 PAC3ミサイルの周囲は工事中だらけ
  愛国者ミサイルを背中に正面は大日本印刷の超高層ビル建て替え工事中だ。左の防衛省側を見ると、何やらここも工事中。 防衛省第2研究棟の工事だ、縄文時代の遺跡発掘中だという。矢じりか竹ヤリが出たのかもしれない。 警備員や駐車している産廃業者の運転手にお話を聞いてみた 「そこから発射するガスより、北朝鮮の方が余計怖い。 あんた、ここから撃つわけないだろう、取り越し苦労だバカバカしい」 「こんな目の前にミサイル置いといて、 馬鹿どもにロケット砲でも撃ち込まれたらどうするんだ、そっちのほうが危ない」。「ここは工事現場だから車に気をつけろ!」。と言われ急いで退散した。
  少し歩き続けると39階建ての大きなビルがそびえ立っていた。

長谷川潤一さんのブログより提供:39階建ての超高層マンション〔ザ・センター東京〕 のベランダから撮影された防衛省内のPAC3設置現場(野球グランド)。 手前は防衛省の厚生施設、右手は防衛省E2棟庁舎、後方は市谷亀岡八幡宮などが見える。 毎日、岡田克也元副総理さんも自宅からPAC3を見下ろしている。

3 PAC3ミサイル発射方向 100数十メートルは岡田克也元副総理(民主)邸
  かつてご近所にお住まいの
長谷川潤一さん にPAC3ミサイル配備についてお話しを聞いた。岡田さん宅へ向かう防衛省に配備されたPAC3の写真も提供していただいた。 長谷川さんは 「新宿区市谷本村町防衛省の隣地に39階建ての超高層マンション〔ザ・センター東京〕がある。 このマンションは岡田克也副総理、直嶋正行前経済産業大臣、白眞勲参議院議員(全て民主)が住んでいる」 と説明する。
  現在、岡田さんたちは野党だが、与党時代にもPAC3ミサイルを自宅に向けて配備していたのだ。
  岡田さん安倍さん 「ミサイルの〔弾〕の中身は竹ヤリなの?」。竹ヤリのもっと先は 東洋一の歓楽街と言われる “歌舞伎町” だ。
  新宿区HPを紹介する。『備えあればうれし泣き新宿』 安心・安全な暮らしをするために備えておきたいこと、知っておきたいことを、 わかりやすく紹介していきます。
◇いつ起こるかわからない地震などの天災
◇知っていれば予防できる病気
◇気をつければ防げる事故

  残念ながらPAC3ミサイルに関して記述無し。
  またお散歩を再開する。「ザ・センター東京」 を通過すると警視庁第5機動隊が見えてくる。 下り坂をぐるりと曲がり、しばらく歩くと防衛省正門にたどり着いた。
  観光客などへお話しを聞いた。

4 市ヶ谷台ツアー
  防衛省は観光地でもある、PAC3ミサイルが配備されても 「市ヶ谷台ツアー」 は中止しない、なんとおおらかな防衛省。 防衛省内でPAC3を見たという女性のツアー参加者は・・・。
  「びっくりしたわ!(指を指して)あの坂を上がって右手よ、殉職者慰霊碑を最後に見学したあと、 丸に赤く書いた火の字がみえてテレビで見た大きなミサイルあったわよ。PAC3でしょう? びっくりした。夢中で写真撮っちゃったわ。目の前にあるの、 バラ線の丸まったような鉄条網の向こうに2つ見えたわ。隊員なんかいないわよ、これでいいの?」 興奮した勢いで私に写真の提供をしてくれた。
  防衛省には9400人の職員がいる。お昼休み門から出てきた防衛省(公務員)の職員は・・・。

防衛省内から撮影したPAC3、後方には大日本印刷のビルが見える

5 とうだい もとくらし
  「庁舎裏の狭いグランド(50m×150m)に配備されているPAC3ミサイルを背中に毎日仕事している。発射したらどうなるのだ」、 私が職員に 「発射されるガスの主成分は塩素ガスと一酸化炭素、大量に吸えば呼吸停止だ」 職員は 「え〜、なぜ、誰から聞いた」 と私に質問。 わたしは 「運用企画局事態対処課防衛部員だ」 と言うと、職員「(納得して)そうですか〜、近隣住民は大変だ」。 わたしは 「あなたの職場はどこの庁舎か知らないがあなたがた職員が一番危険なんだ、防衛省は “100m以内は立ち入り禁止区域” と言っているが」。
  防衛省職員には何も知らされてないようだ。職員は 「新聞によれば、防衛省の中に何かミサイルの仮置き場つくるみたいだ・・・」。 と言って、昼食処へ出かけた。

6 常設するにあたってPAC3の仮置き場つくるの?
  5/17新聞は “PAC3を防衛省に常時配備する方向で調整に入った。敷地内に専用の格納庫も建設したい考え” と報じた。 防衛省や朝霞など住宅密集地に常時警護員をつけ 「実弾入り」 のミサイルを置くのだろうか。 火薬類取締法第1章総則第1条(目的)には 「火薬類の取扱いを規制することにより火薬類の災害を防止し公共の安全を確保する」 とある。
  PAC3の中身はやはり竹やりか?
  防衛省正門を去って、駅に向かう途中に左手に市谷亀岡八幡宮、最後の頼みの綱だ。

7 神頼み
  参道の長く急な階段を登っていくと市谷亀岡八幡宮の境内が現れ右手に厄除け祈願の絵馬。 左手にはPAC3こそ見えないが防衛省のりっぱな建物と通信鉄塔が・・・・。 境内の眼下には× 印だいだい色の標識板に黒文字でアラビヤ数字の2と火災標識のついた防衛省の火薬庫がある。
  安心・安全は神頼み?
  こうして汗をかきながら “防衛省7不思議” のお散歩は終わった。

市谷亀岡八幡宮境内の提灯と後方は防衛省庁舎と通信鉄塔

追伸:2つ自衛隊駐屯地を抱える練馬区内全域713人に聞いた 第6回平和アンケート (第1次集約分)を参考にしていただきたい。 憲法9条を変えて国防軍への問い “反対42%”、賛成10%、わからない47%など、質問6項目を掲載している。 平成25年4月〜5月にかけて調査した。主催:日本平和大会練馬実行委員会


No.27

「銃刀法」 違反告発 PAC-3ミサイル配備
練馬・朝霞駐屯地をめぐる30日間の記録

  4月10日、昨年4月にあった練馬駐屯地祭で、自衛官が市民に銃を扱わせたのは 「銃刀法」 違反だとして、 都内の市民団体 「自衛隊をウオッチする市民の会」 が当時の田中直紀防衛大臣などを東京地検に刑事告発をした。

  石の上にも30年
  陸上自衛隊のトップである階級章に星4個付けた君塚栄治陸上幕僚長は翌日目が覚めるとルール違反に気がついたのか、 記者会見で 「告発されている事実を踏まえ、銃は展示するだけにする」 と述べた。
  練馬区や全国の駐屯地周辺では様々な考え方の人々によって市民運動が行われてきている。 長い間闘ってきた市民運動が君塚栄治陸上幕僚長の画期的な発言を引き出したものだと想像する。
  あせらず あわてず あきらめず
  憲法や法律を生かした今回のような闘いはますます全国に波及するであろう。
  昭和の時代からおもちゃ感覚で銃を子どもたちに触らせてきた
  いつから駐屯地祭で武器を市民に触らせる行為を始めたのか防衛省内局広報課へ尋ねると 「昭和の時代から」 と説明した。

  全国の陸上自衛隊では毎年約 120ヶ所で国民の血税を使って、練馬駐屯地創立記念行事のような 「駐屯祭」 が実施されている。
  日本中で行われている 「駐屯祭」 とは一体どのようなものか。
  マニア向けの雑誌は 「耳栓を用意して 迫力ある火砲の訓練展示を堪能しよう!」 「銃器類の展示は実施に手に持って見ることができる」 と読者を駐屯祭に誘う。

  練馬駐屯地祭は住宅密集地のど真ん中で155ミリ榴弾砲という大きな大砲や戦車砲の空包発射が実施される、 隊員は子どもたちに本物の機関銃を触らせ標準を定めた撃ち方やレンジャーの綱渡りまで教える、 デイズニーランド感覚で戦車やミサイルが巨大なジャングルジム化している。
  毎年、練馬駐屯祭の準備訓練で数日間、大砲の空砲発射、大きなヘリコプターが駐屯地地上スレスレに何度も飛ぶ、 たまりかねた近隣住民からの騒音苦情が練馬区役所に短時間に殺到する。
  もっと大掛かりな朝霞駐屯地で実施された平成22年度中央観閲式には13日間に212件の苦情が自衛隊へ寄せられた。

  わかっちゃいるけどやめられない駐屯祭なの? 無駄と違いますか!
  昨年実施された第一師団創立50周年・練馬駐屯地創立61周年記念行事の目的は 「歴史と伝統を顕示し、自衛隊に対する理解と信頼を深める。 併せて隊員家族等の理解を促進し士気の高揚を図る」。さらに、広報渉外計画の目的や渉外業務は 「苦情対応(特に騒音)に関する 『Q&A』 を準備し、 適時適切に対応する。」 と第1師団一般命令第27号(情報公開文書)に書かれている。

  防衛省へ質問状
3月28日 「自衛隊をウオッチする市民の会」 は、4月14日に実施される練馬駐屯地祭での装備品展示に関して防衛大臣宛に  @ 小銃などを触らせることは銃刀法に違反すること A レンジャー訓練体験はジュネーブ条約と児童の権利条約に抵触することに関する質問状を送付、 4月5日までに回答をするよう求めた。翌29日に防衛省に質問状が到達した。


  駐屯地交渉 何を質問しても 「わからない」
4月5日
  本日は回答日だが防衛省から返事がない。
   8日
  練馬駐屯地の正門に入ると 「規律維持」 と大きな字で今月のスローガンを掲げてあった。
  午前11時30分より練馬駐屯地業務隊司令業務室の隊員と市民8名が35分間陳情した。
  (1) 迷彩服を着用しないこと
  (2) 一般市民に小銃や機関銃などの武器を触れさせないこと
  (3) 子どもを対象としたレンジャー訓練体験を中止すること
  (4) 装甲車や戦車等の車両行進、ヘリコプターの飛行、戦車等の試乗を中止すること、特に戦車の空砲発射を行わないこと
  事前に提出した質問書に対して練馬駐屯地業務隊司令業務室は何を質問しても 「わからない」
  「わからない」 と言いながら大砲発射はやめますと画期的な
  隊員の発言に拍手

  20回 「わからない」 を連発した。唯一言った言葉は 「私が承知しているイベント内容は昨年やった空包は今年は無しで考えている」。
  18年間練馬駐屯地と交渉しているが 「わからない」 発言は初めてだ。

  1995年2月10日、東京平和委員会は防衛庁(当時)交渉において、内局の施設対策第2課(当時)は 「練馬駐屯地に関する要求は地元の練馬駐屯地業務隊司令業務室の千原3佐だ。」 と回答している。

  自衛隊にとっておめでたい行事で迷彩服の姿で子どもたちと触れ合ってほしくない。小さな子どもたちの前で母親として心配している、 銃を触らせることも迷彩服も避けていただきたい。母親の切ない願いです。返事だけはください。
  法律に違反してでも実施するのか。答えが欲しい
  「わからない」 を繰り返す。
  交渉から30分が過ぎ 面会所の外ではお昼のラッパが鳴っている。
  いつまで回答いただける。うやむやにしないで。
  国民の声を聞いて上級部隊へいつ持って行ってどのような回答があったか報告していただきたい。
  うつむき加減に「わからない」の返事がかえってくる。
  交渉35分経過した。

  救いの手登場
  面会室のドアが開いて部下が大きな声で
  「室長! 東部方面隊から至急の電話が入っております。」
  電話終わったら回答してくれますかの参加者の質問に、「わからない」 と言い残した。
  それ以来、隊員は面会室に戻ることはなかった。

  交渉直後、参加者は駐屯地へ提出した要請書を持って、誠実に対応しない練馬駐屯地について練馬区教育委員会庶務係長と総務係長へ相談した。
  練馬区総務係長から 「区民からの要望は尊重してくださいと練馬駐屯地広報へ申し伝える。」 と力強い答えを得た。 後日、練馬区防災課渉外係へ相談し 「自治体と住民とのホットラインとして、駐屯地へ住民から問い合わせがあったなら丁寧に住民と接してくださいと、 上司と相談して駐屯地へ情報提供したい」 と、誠実な対応がかえってきた。

  空自 「PAC-3ミサイル事故が起きたら消火器で初期消火?
                          :国民の生命安全守る」

4月9日
  本日未明、朝霞高校と新座総合技術高校にはさまれた朝霞訓練場へ、 入間基地(第4高射隊)所属のPAC-3(ペトリオットミサイル)2機が北西上空に向け配備された。
  広大な面積の朝霞訓練場は草むらも多くヒバリの声が響き渡っている、朝霞訓練場警備は32普通科連隊(埼玉県さいたま市)の隊員たちの任務だ、 眠い目をこすり大あくびしながら 「寒いな〜さあ準備に取り掛かるか〜」 と重い腰をあげていた。
  朝霞訓練場内を軽装甲機動車に乗った完全武装の隊員が警戒している、もちろん機関銃を構えているのだが、 私がPAC―3ミサイルの写真を撮影しても何度も見て見ぬふりをして通り過ぎる、なんとのんびりしたムードが漂っているではないか。
  練馬区防災課庶務係は私に 「配備されたんですか、朝霞から何も情報提供ないですよ、朝のテレビでまだ見てません、 駐屯地に聞いてみる」 と困惑気味だ。
  朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が弾道ミサイルを発射するなどの不側の事態に備え、政府は4月7日 「破壊措置命令」 を発令した。 防衛省は手の内は明かさないと言うがNHKテレビや民放などへは先走って 「PAC-3ペトリオットミサイルが配備されますよ、カメラ構えて」 と、 自治体より早く情報提供していた。
  昼間のニュースでは上空から朝霞訓練場に配備されたPAC-3ペトリオットミサイルを映し出していた。
  練馬区や新座市など関係自治体へ防衛省から連絡が来たのは1日遅れの10日であった。 練馬区防災課庶務係は 「住民からの問い合わせが来たら防衛省の電話を教えていただきたい。」 と朝霞駐屯地からあっさり連絡があっただけだと言う。
  13日、PAC-3ペトリオットミサイルの暴発事故が起きたらどうすればいいのか航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)当直司令へ訪ねると、 「朝霞や市ケ谷などは安全装置がかけてあるから発射しない、安全だ。入間基地の安全体制は消防隊(赤い車両)を配備している。 朝霞訓練場などに配備した高射隊には消防隊は一緒ではない、消化器で初期消化を心がけている。 夜は寒いのでドラム缶に軽油を使って所定の場所でストーブをたく。火気とミサイルは離してある」 こんな意外な説明であった。


  悪事千里を走る
  10日
  「自衛隊をウオツチする市民の会」 は東京地方検察庁に告発状を提出。東京地方裁判所司法記者クラブにて記者会見を行った。 NHK午後6時と9時のニュースなどで “催しで市民に銃” 刑事告発 市民団体の会見と、全国に流れる。 そのほか東京新聞・朝日新聞・しんぶん赤旗で取り上げられる。
4月11日
  君塚栄治陸上幕僚長は 「告発されている事実を踏まえ、銃を展示だけにする」 と発表した。
  12日
  未だに駐屯地から質問への回答がない。私は練馬駐屯地業務隊司令業務室の隊員へ 「駐屯祭まで2日だ、当日の武器の取り扱いをどうするのか? 君塚陸上幕僚長は11日の記者会見で述べている、聞いているか。」 隊員は 「記者会見もわからない、中身もわからない、 当日と異なることを言うと困るので行事については駐屯地広報か師団広報へ聞いてくれ」。 私は 「住民の窓口はあなただ。あなたに聞いている」 と問いかけても隊員は 「わからない」 とつぶやくだけだ。

  全国各地の駐屯祭で市民に武器触れられないようになる
  14日
  いよいよ練馬駐屯祭当日。上官の命令によって、小銃などの展示はしたものの鎖につながれ市民の手に触ることはなかった。
  星のたくさん付いた隊員たちは、北朝鮮のミサイルなんて何のその 「隊員家族等の理解を促進し士気の高揚を図る」 と部下に言いながらいっぱい飲んでいい気持ちになっている。




  17日
  練馬駐屯地からまだ 「回答」 が届かない。
  防衛省陸上幕僚監部広報へ練馬駐屯地の市民に対する対応の悪さを相談する。 広報官は 「伝えたことは練馬駐屯地の担当官に連絡し担当官から貴方へ連絡させる」 と約束した。

  上官の命令で 「わからない」?
  18日
  練馬駐屯地業務隊司令業務室から私の携帯電話に留守電が入っていた 「練馬駐屯地司令業務室長の○■です、 先般いたいただいた質問状と要請書の問い合わせの件です、窓口は防衛省内局内閣官房広報課に問い合わせ下さい。 以上です失礼します」 という、練馬から市ヶ谷の防衛省へ聞けと言うたらい回しの伝言であった。 私は改めて防衛省陸上幕僚監部広報へ 「練馬駐屯地の住民対応の窓口の責任を問う、たらい回しは止めよ、 もう一度私たちへ直接練馬駐屯地が責任をもって回答するようやり直せ」 と忠告すると、 防衛省内局内閣官房広報課は 「上司の命令が練馬駐屯地の担当官のそのような対応だったのかもしれません…了解しましたもう一度上部へあげます」 と述べた。
  23日
  私は練馬駐屯地業務隊司令業務室へ 「5月9日か15日どちらかの日程で回答をお聞きしたい、 さもなければあなたの時間のある日を教えていただきたい」 と問うと、隊員は 「1分も時間が空いていない。 交渉日程はわからない」 と言いながら電話で30分間も潰した。
  4月24日25日26日30日、月が変わって5月1日2日と毎日毎日、 防衛省陸上幕僚監部広報の皆々様と相談しているが一向に私たちのところへ練馬駐屯地から 「回答」 も交渉日の日程も届かない。 ゴールデンウィーク前に回答して欲しいと嘆願しているが…。
5月5日
  ついぞ本日まで練馬駐屯地から 「回答」 や交渉の日程の日取りは来なかった。
  今日も朝霞駐屯地ではヒバリが高く舞いミサイルを眼下に見て鳴き続けている。
  小学生はサッカーの試合、朝霞高校のプールでは水泳の競技に夢中だ。
  訓練場内ではミサイルが撃ち込まれようが、毎日土木工事が進められている。
  国防軍に変わって欲しくないと思っても隊員たちは見えない敵に向かって消火器を片手にお仕事中だ。「やがて1ヶ月だ、まだか〜…」

  反怖(たんぷ)謙一 第1師団長 陸将は隊員たちに叫んでいる
  隊務運営のモットー  根を養えば 樹は自ら育つ
  隊員への要望希望ABC
  A:あたりまえのことを
  B:ぼんやりせずに
  C:ちゃんとやれ


No.26

ほんとは止めたい観閲式?・・・しかし!

  防衛省・自衛隊の制服(武官)も背広(文官)も、うんざりしている。「本業を忘れ、準備に600日、莫大なコストをかけて・・・そろそろおやめください」 と殿様を説得している噂が防衛省・自衛隊から流れてくる。
  代々の防衛庁長官や防衛大臣などは 「陸海空24万の前でデカイツラが出来るのは唯一この日だけだ! 止めろなんて 文句言うな」 と言い続けている。
  2012年3月23日、朝霞訓練場(埼玉県朝霞市・新座市)で来年実施される平成25年度中央観閲式の企画統制班が、第一師団(東京都練馬区)に発足した。
  観閲式など軍事パレードを毎年やっている国は、北朝鮮(朝鮮民主主義共和国)と日本だけ。
  今、国会では復興予算を 「俺にくれ」 とドサクサに紛れ、国民を監視する情報保全隊の携帯電話などに8000万という血税を流用しようとしている。
  防衛省は2年前の観閲式に飛行機や戦車の使用燃料は、91万リットル(現価格約2億2千500万円相当)と発表している。 「不要不急」 とは誰が言ったのだろうか。

   ・
東部方面隊創立53周年記念行事
    観閲式(パレード)に伴う航空機飛行情報(予定)
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  観艦式で観閲飛行をドタキャンした陸・空自の航空機
  10月14日、相模湾で実施された観艦式だ。燕尾服にシルクハット姿の防衛大臣と首相が小雨の中 「戦艦」 くらまの観閲台でささやいていた。 「おい、海上自衛隊の飛行機は飛んだが、陸自と空自はどうして飛ばないのだ」。 すると部下は 「申し訳ありません。悪天候のため陸・空の航空機は出勤をとりやめたそうです」 と小声で耳打ちしたようだ。
  その直後、野田首相は隊員たちの訓示として旧大日本帝国海軍で愛国心育成した 「自戒のことば」 である 「五(ご)省(せい)」 を引用し、 さらに日露戦争の日本海海戦において東郷平八郎連合艦隊司令官の 「皇国(こうこく)の興廃(こうはい)は此(こ)の一戦(いっせん)に在(あ)り各員(かくいん)一層(いっそう)奮励(ふんれい)努力(どりょく)せよ」 の一部の言葉を引用した。


ヘリコプター地上高度103メートルと防衛省発表:2007年中央観閲式(朝霞訓練場)

  大臣だけではない・・もう一人殿様が朝霞駐屯地で威張っている
  本年9月、朝霞駐屯地(東京都練馬区大泉学園町)から自治体へ、東部方面隊創立53周年記念行事(10月28日)の概要(案)が告知された。 観閲式に伴う事前訓練が10月19日・23日・24日・25日。行事当日の観閲式規模はヘリコプターなど25機、戦車など150両だ。 朝霞駐屯地は自治体へ中央観閲式の半分程度と通知している。
  10月12日、殿様たちへ住民の代表や大学生たちは防衛省へ直訴した。
  住民たちは防衛省に病気療養中、高齢者、幼児等への影響また夜間勤務の住民における昼間睡眠への影響を配慮してと要請した。
  防衛省は2010年の観閲式苦情件数212件、式場通過高度を339フィート(103メートル)、 戦車・ヘリなど使用燃料91万リットル(現価格約2億2千500万円相当)と発表した。 今まで観閲式に関する騒音苦情は読売・毎日新聞などが大きく取り上げている。

  自衛隊の隣は小学校 28日は授業参観日!
                観閲飛行や戦車走り回る 配慮して

  住民たちは 「観閲式が実施される10月28日は新座市の全小学校が授業参観日だ、 配慮して」 と強く訴えた。
  さらに長い住民運動によって以下の7項目の要望が実現したことも説明した。
J 中央観閲式が毎年から3年に1度に。
K 2010年の観閲式より今回の東部方面隊創立53周年記念行事も含め東部方面隊ホームページで訓練内容告知。
L 2010年の観閲式は町内会掲示板へ騒音の迷惑に関するポスター貼り出し。
M 東部方面隊創立行事に関する自治体告知が2009年の15日前から本年52日前に。
N 2009年10月3日東部方面隊創立行事の航空機30機から23機へ削減、2010年10月24日観閲式の航空機76機から66機(米軍機含む)へ削減。
O 今回の東部方面隊創立行事ではコンサートに大砲使用を中止。
P 観閲飛行や大砲の空包発射など中止。2009年4月、 第1師団創立記念行事(練馬駐屯地祭)に関して練馬区役所や住民が駐屯地と話し合うなどして実現した。

  前都会議員はヘリコプターの音に敏感になっている住民から 「何かあったのですか、まさかオスプレイじゃないですね」 と問われる。 基地に隣接する住民は記念行事で住民から反感をかうことはよくない配慮せよという。

  住宅街1万1千メートルの距離を
           高度150メートル以下でヘリ編隊飛行続ける

  平和委員会は、ヘリコプターが朝霞訓練場観閲式場を地上高度110メートル(朝霞駐屯地発表)で飛ぶという、 住宅密集地は航空機の訓練場ではない危険だ。オスプレイは60メートルで移行するのは危険だとして日米で150メートルと決めた。 地上150メートルで失速すれば6秒で墜落する。 観閲飛行の、武蔵浦和駅から関越道まで距離約1万1千メートルを150メートル以下の超低空飛行訓練を中止するよう求めた。 さらに、東部方面総監部(朝霞駐屯地)は観閲式に関するホームページを10月7日立ち上げたが、 1〜2日で突然消えてしまった件などについて防衛省から以下のような回答があった。

  「同じ訓練を2回もやられては住民はたまらないと思う」
                           防衛省、住民に同情

  防衛省の文書課という背広組から 「本番と同じ訓練を2回もやられては住民はたまらないと思う、減らす方向で検討している。 ホームページは意図的に隠そうと思って消したわけではない、部隊を強く指導する。」 「米軍機は来ない、米軍機へのリクエストはない」 と回答した。
  交渉の直後、消えたホームページは一応現れたが、訓練の詳細が消え大雑把な内容になった。 朝霞駐屯地へ問い合わせると 「天候によって左右されるため」 と答えた。 さらに止めればいいのに私を指して 「特定の人には飛行機のルートについて細かく説明はしない」 と言い放った。
  消えた東部方面隊のホームページに関して練馬区総務係の職員は、私に 「消えたホームページには(練馬区や埼玉県、朝霞市のホームページなど広報紙は “陸上自衛隊東部方面隊記念行事の実施に伴い、 大きな音などでご迷惑をかけます” と説明する)大きな音で迷惑かけるとでも書いてあったんでしょうか」 と質問した。 私は 「決してそのような迷惑をかけてごめんなさいなどという謙虚な言葉は一切なく、 ただ、観閲式で予行も含め5日間、4県1都26市1町の上空を編隊飛行が何機何時ごろ通過するという情報のみです」 と答えると唖然とした表情で私を見つめた。別の総務係職員に 「朝霞訓練場は地上高度110メートルのヘリコプター編隊飛行がある」 と説明すると、 「練馬区役所が20階建てで100メートルですよ」 と驚いた様子だった。

  朝霞の殿様は 「感謝無敵」 という言葉がお好き
  10月28日の1都10県、関東甲信越2万人の隊員を指揮下に置く渡部悦和東部方面総監は 「2万人の前でデカイツラが出来るのは唯一この日だけだ! 止めろなんて 文句言うな」 とでも歴代防衛庁長官や大臣などと同じ考えなんだろうか。 その殿様は 「有難うございますという言葉が最も美しい日本語だと思う」 なんと隊員向けに言う。 児童や住民は150メートルも超低空で飛び回るヘリコプター25機編隊飛行の下で勉強や生活している。 爆音直下の住宅密集地で誰が 「自衛隊さん有難うございますと」 言うのだろうか。 朝霞の殿様は 「不断の終わりなき改善」 という言葉もお好きなようだ。殿様ご自身の頭も早期に改善して欲しいものだ。 我々は庶民の目線で見られない 「感謝無敵」 なんてのんきなことを言っている殿様がここにもいることを忘れない。

  騒音苦情は爆音直下の自治体へ
  観閲式に伴う事前訓練が10月19日・23日・24日・25日。行事当日の観閲式規模はヘリコプターなど24機、戦車など150両、 10月19日・23日は隊長機が7機飛行するようだ。
  特に10月24日・25日午後2時半から3時半の間、ヘリコプターなど24機の編隊飛行が予定されている。 埼玉県越谷市・吉川市・さいたま市・春日部市、千葉県野田市・柏市・流山市、茨城県坂東市は2時半から3時20分の約50分間待機飛行や通過、 午後3時10分から3時15分の間は武蔵浦和駅⇒朝霞駅⇒朝霞訓練場地上110メートル⇒関越道と埼玉県朝霞市・志木市・和光市・新座市、 東京都練馬区上空を飛び回る。
  本番の10月28日は午前10時20分頃から11時25分頃まで上記の場所を待機通過などして観閲編隊飛行が予定されている。
  騒音苦情や中止要請は最寄の自治体へ “自衛隊へ申し伝えてください” と相談するといい。

  来年は中央観閲式と日米共同演習が朝霞駐屯地で予定されている。