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【NPJ通信・連載記事】練馬自衛隊基地ウオッチング~ダイコンと基地の街~/坂本 茂

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平成25年版東京都兵役準備計画
こんな高校生に誰がする その1

2014年6月10日

東京都教育庁(以下、「教育庁」と略する。)は、都立高校の生徒や保護者に「サマーキャンプ合宿だ!防災訓練だ!」と魔法をかけ、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区など)へ体験入隊させた。いつから、都立高校は戦場の入口になったのか。

①敬礼!昨夜扇風機1台で汗だくだく、寝苦しい夜から突然朝5時にたたき起こされ隊内を行軍。これからやっと朝飯だ

2013年7月26日から28日までの2泊3日の日程で、東京都立高校としては初めて、「防災宿泊訓練」という名のもとでの自衛隊体験入隊が、陸上自衛隊朝霞駐屯地で秘密裏に実施された。猪瀬前都知事が、前任の石原慎太郎元都知事の「高校卒業後2年ほど自衛隊へ入れ」とした「破壊的教育改革」に忠実に従ったからだ。

準備計画は直前まで明らかにされず、秘密めいたものであった。しかし、市民団体の防衛省や教育庁に対する交渉、及び、情報公開文書などからその内情が透けて見えてきた。

事の始まりは、2013年1月ころ。教育庁は、東京都新宿区市ヶ谷の自衛官募集が専門の自衛隊地方協力本部(以下、「自衛隊東京地本」と略する。)へ電話連絡した。

教育庁  キミ、高校生を基地で3日ほどあずかれないか?モデル校にしたい。

自衛隊東京地本  ハイ、体験入隊でしょう。生徒さんたちから親しみを持ってもらい自衛隊に関心を集めるため猛烈にアピールしますよ。

教育庁  キミ、体験入隊とは言葉が過ぎるゾ。なにかいい表現はないのか。

自衛隊東京地本  ハイ、テレビでは東京でもマグニチュード7クラスの首都直下地震が4年以内に起­きる可能性は70%」と流れています。社会が高校生を必要としている。「防災宿泊訓練」でどうですか?それでは、体験入隊、いや間違えました。生徒たちの「防災宿泊訓練」のスケジュールはすべて私のところでコーディネートしましょう。お任せください。

しばらくして同年5月下旬、自衛隊東京地本から教育庁への電話連絡。

自衛隊東京地本  ハイ、7月中下旬に朝霞駐屯地が宿泊可能なりました。もちろん、宿泊隊舎は他の自衛官と同居ですよ。

教育庁  キミ、デカしたな。ちょうど夏休みだ。

自衛隊東京地本  ハイ、広報室長は海上自衛隊出身ですので、潜水艦徽章のデザインのピンバッジをプレゼントするそうです。おまけに防災教育の基礎課程を修了したことを証明する修了証も生徒さんたちに差し上げます。我々自衛官総出でお待ちしております。そのかわり生徒さんたち全員の住所と名前を書いた名簿は提出していただきますよ。

教育庁  キミ、ところで教える自衛官は救急救命士の資格ぐらい持っているだろうね?

自衛隊東京地本  自衛隊には高校生に教える防災教育の基礎課程とか防災マニュアルやテキストなんか初めっからないのです。消防士じゃないんですから。ここをどこだと思っているんですか。ジ・エ・イ・タ・イですよ。

教育庁  ・・・・・

6月ころ、教育庁から自衛隊東京地本への電話連絡。

教育庁  キミ、7月26日から28日まで、都立田無工業高校の男子のみにお願いすることにした。

自衛隊東京地本  ハイ、でも、「防災訓練」ですよ。女子生徒がいなければマスコミに疑われませんか。では、着隊式から始まって、行進訓練や教練、ベッドメイクなどの内容を含め、離隊式までのスケジュールを送ります。

教育庁  キミ、マスコミなんかどうでもいいんだよ。それより、教練とかベッドメイク?防災と関係ないじゃないか。

自衛隊東京地本  ハイ、でも、それは適当にそちらで防災訓練に直せばよろしいかと。

6月20日、都立田無工業高校の池上校長は、保護者に対し、「防災宿泊訓練IN夏 2泊3日」、「夏休みを利用して救急救命技術向上をめざそう~参加費無料」、「場所は防衛省関係施設、定員30名」と内容を説明した。

校長は場所が朝霞駐屯地であることを知っていた。にもかかわらず、「防衛省関係施設」とだけ説明した。

ところが、生徒からの募集はゼロ。校長は頭を抱えた。

しかし、これは訓練後に筆者が校長から聞いた話であるが、「ラグビー部の顧問から部員に声がかかった」ため、ラグビー部の部活の生徒たちが合宿感覚で35名参加(最終参加は34名)することになった。校長は、さぞ胸をなでおろしたことだろう。

7月11日、教育庁は正式に生徒の名前・年齢・住所電話を記名した「体験入隊名簿」を作成し、自衛隊東京地本へ差し出した。

実施直前の7月18日、校長はようやく場所が朝霞駐屯地であることを保護者などへ伝えた。ただし、「体験入隊」とは口が裂けても言わなかった。

7月23日、情報をキャッチした東京新聞の記者や畔上都会議員(共産)が教育庁に質問したが、教育庁側は「静かな環境で訓練を行いたいので、詳しい内容は(自衛隊以外も含め全学校の訓練が終わる」来年3月に公表したい」と答えるのみであった。

なお、このころ、学校にはすでに箝口令が敷かれ、「職務上知り得た情報を外に流すな」と教職員に圧力がかけられた。

7月24日、教育庁は詳しい訓練内容を関係者に明らかにした。東京新聞が夕刊トップ記事で、「都立田無工高 自衛隊で宿泊防災訓練」と報じ、公式に高校名が明らかになった。 (続く)

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