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【NPJ通信・連載記事】高田健の憲法問題国会ウォッチング/高田 健

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名護市長選挙の勝利に続いて、都知事選挙でも勝利を! 戦争準備法と集団的自衛権、私たちのたたかい

2014年5月7日

異常な法案審議のやり方
昨年12月6日深夜11時すぎ、特定秘密保護法が与党だけの賛成多数で成立させられた。文字通りの強行採決だ。
重要法案と言われたにもかかわらず、同法は国会での審議時間が極めて短く、衆議院で46時間、 参議院ではその半分以下(例えば盗聴法参院49時間、郵政民営化関連法93時間、教育基本法84時間、改憲手続き法53時間など、 過去の重要法案と比べても異常だ)に過ぎない。

世論調査では反対や慎重審議要求が8割に達し、報道界、法律家、表現者、市民など多くの団体による、 国の内外から相次いだ深刻な懸念と世論を無視したものだ。 連日、国会を取り囲んだ市民のデモに対しては、石破自民党幹事長が 「テロ」 と同様だと決めつける異常なやり方がまかり通った。

同法の何が問題なのか
この秘密法に先立って、同じ臨時国会で 「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法」 がつくられたことは重大だ。 国の安保・外交問題が首相を中心にわずか4人の大臣で決定できるもので、有事に際しては大本営的機能をもつと指摘された危険なものだ。 この日本版NSCは早速、南スーダンの韓国軍に自衛隊の銃弾1万発を貸与するという武器輸出3原則破りの強行で機能した。 これは韓国軍に緊急だからと頼まれたので、と政府は弁明したが、韓国軍は国連に頼んだのであって自衛隊に頼んだ覚えはないと言っている。 ことの真相は闇の中だが、「戦争はつねに政府のウソを国民に秘密にすることから始まる」 と指摘したある人の警句が思い出される。

「何が秘密? それは秘密」 と批判されたように、この法律は 「秘密」 が限定されておらず、 「政府の違法行為を秘密にしてはならない」 ことも規定されていない。報道関係者や市民の行為が教唆・凶暴・扇動と見なされれば、 最高刑は10年の処罰になる。これでは市民は政府の違法行為を暴くことができなくされる。 この秘密保護法は民主主義を破壊し、市民を萎縮させ、戦争の危険を増大させることになる。

事実、臨時国会のあと、年末には安全保障戦略、防衛大綱、中期防などの発表が相次いだうえ、首相の靖国神社参拝だ。これらの政府の動きは、 アジア諸国を挑発しながら、アジアの緊張を口実に軍事力を強化するというマッチポンプ戦略だ。

積極的平和主義を掲げる安倍政権がねらうもの
安倍首相は第一次政権以来、第9条に代表される平和憲法を敵視し、改憲を企ててきたが、多くの市民の改憲反対の世論によって阻まれ、 9条明文改憲に直ちに着手する道は阻まれた。迂回策として考えられた96条改憲という奇手も世論の前に失敗した。 そこで、安倍首相は明文改憲ができないままで、憲法を踏みにじり、この国が 「戦争する」 ことが可能な道をすすめようとしている。

安倍首相が実現したい日本は、「積極的平和主義」 ということで、米国と共に、アジアで、世界で自衛隊が戦える国だ。 このための集団的自衛権の行使は、歴代の自民党政権でさえ憲法9条を変えなくては不可能だとしてきたことだ。 昨年9月の国連総会で安倍首相が叫んだ 「積極的平和主義」 とは、「平和主義」 の名の下に、この憲法解釈を変えて、 改憲なしで集団的自衛権行使(米国と一緒に戦争する)を可能にすることだ。

安倍首相は、臨時国会で成立させた2法に加えて今度の通常国会でねらっている国家安全保障基本法を成立させれば、 この国は第9条があっても合法的に集団的自衛権が行使できると考えているというのだ。
1月19日に開催した自民党大会では、運動方針から従来慣習的に記述していた 「不戦の誓い」 削除し、「積極的平和主義」 を盛り込んだ。 同時に安倍自民党は、集団的自衛権の行使とあわせて、PKO、武器輸出3原則の破壊など、 集団的安全保障による海外での戦争ができる道を開いていることも要注意だ。
国家安全保障基本法は自民党の法案要綱では、その10条で 「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合、 自衛権を行使できる」 とし、11条で海外での武力行使を可能にしている。 「自衛権」 一般を行使可能とすることで、従来唱えてきた個別的自衛権は可能だが、集団的自衛権行使は駄目だという見解を精算しようとしている。

昨今の安倍政権の動きで警戒を要することは、これが必ずしも国家安全保障基本法の策定を先行させるとは限らないことで、 1月11日の磯崎・内閣安保担当補佐官によれば、有識者懇談会が4月にもだす報告書にもとづいて、法制化・立法改憲なしで、 内閣法制局に命じて政府見解の原案を決め、与党との調整を経て、 通常国会中に集団的自衛権解釈変更・行使の結論をだすこともありうると言われていることだ。 基本法策定を渋る公明党を考慮しての対応だ。これは安倍政権と日本版NSCの独裁となるものであり、注意しておかなくてはならない。

法の下克上を許さない
最高法規の憲法の規定を、「国家安全保障基本法」 などという、より下位の基本法で否定する、まさに法の下克上だ。これでは立憲主義の国ではない。
憲法の尊厳を取り戻し、平和を守るためには、これら戦争準備3法を許すことはできない。秘密保護法を廃止する運動こそ重要だ。 国会が作った法律は民意に拠って国会で廃止することができる。カギは戦争への道をひた走る安倍内閣退陣、国会解散の世論を作ることだ。

いま始まった 「『秘密保護法』 廃止を求める請願書名」 をはじめとする 「秘密法廃止へ!実行委員会」 の運動は、 この社会に民主主義と立憲主義を取り戻し、戦争への道に反対する壮大な市民運動だ。
首相の靖国神社参拝、尖閣列島での軍事的緊張の増大などなど、東アジアはただならぬ情勢にある。 私たちは 「平和をたたかいとる」 腹を固めなくてはならない時になった。
世論の多数は改憲に反対し、集団的自衛権の行使や、秘密保護法に反対している。 韓国、中国などの隣国のみならず、米国までも安倍政権の危険な暴走に批判を強めている。

東京都知事選で宇都宮候補の勝利を
1月19日に投開票だった沖縄・名護市の市長選挙は、辺野古新基地建設反対の稲嶺候補が圧勝した。 札束にものを言わせて選挙に介入した安倍政権に対する名護市民や沖縄県民の回答だ。安倍政権は大きな打撃を受けた。 これは平和と人権、民主主義を願う民衆の新年早々の大きな勝利である。

つづく東京都知事選で、宇都宮けんじ、舛添要一、細川護煕の主要3候補のいずれが当選するのか。 この帰趨は今後の政治に重大な影響を与えるものとなった。
公開討論にもでてこられない他の2候補に対して、宇都宮候補の政策の柱は明確だ。
Ⅰ 世界一、働きやすく、くらしやすい希望のまち東京をつくります。
Ⅱ 地域経済を活性化し、環境重視、防災・減災重視のまち東京をつくります。
Ⅲ 原発再稼働を認めず、原発のない社会と経済を東京からめざします。
Ⅳ 教育現場への押しつけをなくし、すべてのこどもたちが生き生きと学べる学校をつくります。
Ⅴ 安倍政権の暴走をストップし、憲法を守り、東京からアジアに平和を発信します。
以上、5つの政策を掲げて闘う宇都宮候補が勝利するか、自公連合の舛添候補か、あるいは細川・小泉連合の細川候補か、この選択だ。

残念なことに、都知事選をめぐって、脱原発の運動に亀裂が入っている。私はツイッターにこう書いた。
運動のリーダーたちの責任は重い。別々の候補を支持するのは成りゆきから見てやむを得ない。重要なことはそれを引きずらないこと。 ある人にこう書いた。「あえていえば 『選挙ごときで』、運動を分裂させてはならない」、終わったらノーサイドだ。 脱原発を実現するたたかいは長期の運動で実現しなくてはならないたたかいだ。 何よりもこのことを肝に銘じて、宇都宮都政の実現で、安倍政権を追撃するたたかいに確信をもって取り組みたい。

(高田健 「私と憲法」 153号所収)

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