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戦争経験者は決して少数派ではない
65歳を目前にした8月15日に「黙っていないで、みんなで声をあげよう!」との呼びかけ

寄稿:毛利正道

2014年8月15日

中国で軍曹であった父が帰還.結婚して1949年に生まれ、現在、この8月19日で65歳となる私は、1945年までの戦争を直接体験していない世代である。でも、私は、1967年高校3年生の時には戦争に拒絶感を持っていたし、大学に入った年の4月28日には、全く自発的に、ベトナム戦争反対のデモに参加した。その後、50年近く経とうとする今、戦争に繋がる一切のものを拒否する存在になっている。なぜであろうか。

それは、一つには、1945年までの戦争の実相を映画・テレビ・本・学校で次々に見聞きする機会があったことであるには違いない。なかでも、小中学生の時、戦争の後遺症を足に負っていた父から、たったひと言、「(中国で)大勢の人を死なせて来た」と聞いたことや、日本軍のなかで凄惨な拷問がなされた劇映画の場面は今でも脳裏を離れない。

もう一つ、それは、私がここまで生きてくるなかで、パレスチナ、ベトナム、パナマ、ニカラグア、アフガニスタン(大きく2回)、クウェート、イラクと次々に世界各地で戦争が目の前でなされてきたことだ。ありがたいことに、沖縄・韓国・中国にはそれぞれ10回近く、その他にも、国際連帯の視点から南アフリカ・米国・ベトナム・コスタリカ・カンボジア・フィンランドの地を踏むこともできた。

このようななかで、日常的には唯一人だけが暴力で傷を負ったり殺されたりすることにも社会挙げて非難するのに、こと戦争となると、人を殺すことが奨励され賞賛される。私は、思い切り腹部をなぐられたことが1回だけあるが、それだけでも強烈な衝撃・ショックを受けた。にもかかわらず、戦争では、無数にあちこちで夥しく傷つき殺され、傷つけ殺していく。

今では、二つの世界大戦とその後の100回を超える戦争を経験するなかで、人間が如何に大切な存在で、人間を殺傷することが如何に惨いことなのかを、世界中の人々が学び身について来ている。だからこそ、自衛隊だけでなく、米軍でも、イタリア、イギリス軍、そのほかおそらく世界各地の軍隊でも、戦争に耐えられずに自殺し心が一生傷つく人凝がすさまじい。

私が到達したもう一つのこと。それは、暴力・武力は必ず報復の連鎖を招くのであり、暴力・武力を持ってしては決して平和を築けないということだ。パレスチナやイラクで今起こっていることをみるだけでそれは証明されている。イラクでは、数十万の殺人がなされた米国らによる戦争の結果、開戦前までの住民のつながりが暴力的に破壊され、それが「イスラム国」の台頭を許す結果を生み、今また米国がイラク戦争を再開するに至っている。武力では平和は築けない。これは、安倍首相が「戦争にならないようにするために武力による構えをするだけ」とうそぶいているが故にどうしても二度言っておきたかった。

私のように.1945年までの戦争を直接は知らなくとも.戦後の70年を育ち生きてくるなかで.戦争体験者に近い経験をしてきている同胞は多い。明治以来1945年までの約70年のなかで夥しい人生が破壌されたが故に.その人々のいわば「遺言」として絶対に戦争をしないという憲法が生まれ.その遺言に包まれて私を含むその後に生まれ育った人々が直接戦争で殺し殺されることなく戦後70年ここまで来られた。

パレスチナ、ウクライナ、シリア、イラク、アフガニスタン、世界各地で同時多発的に戦争がなされている現在(南シナ海もこれに近くなってきている)。ここ日本で.閣議決定を具体化する立法を許しては.世界は「日本国憲法9条」という目標を失い、後世の人類が(もはや.存在しないかも知れないが)「21世紀前半は、第3次世界大戦であった」と評するような時代に孫やひ孫を追いやってもよいわけがない。

憲法に包まれて育った戦後生まれの我々多数派「憲法世代」数千万人は、戦争体験者とは言えなくとも、戦争経験者として、戦争を否定する憲法を死守しなければならないし,それは出来る。

「黙っていないで、みんなで声をあげよう!」

保革を超えた46名による「閣議決定の白紙撤回・立法化阻止=諏訪地域ぐるみの会」結成呼びかけ文の最後に掲げられた一文である。私のたっての思いから入れてもらった。

昨年暮れの秘密保護法反対運動以来の5度にわたる安倍首相へのひと言運動は、現在までにほぼ850名が「人格の発露」を寄せた。「とるに足らない、一主婦のささやかな、そして全てをかけた願い」(長野市、60代女性)もそこにあった(「安倍首相への手紙」あけび書房)。その一連の取り組みで生まれた私の思い、それは、信州人を始めとする日本国民は、世論調査では多数派が反戦平和を支持しているもののそれを身体の外に表現することが少ないが.ひとたび機会が与えられれば、それをしっかり表現するカを持っているということだった。

戦後70年の国民主権憲法で培われたものは決して小さなものではない。信濃毎日新聞は、読者投書欄である「建設標」において、この8月13日から15日まで「平和」とする特集を組んだ。そこには、80代から高校生まで18名全員が平和を求める人格の発露」を寄せている。この「建設標」欄では、毎日少なくとも1つは反戦平和を求めるものが掲載されるので、一年間で350人にもなる。このように掲載されるとなると、自分も書こうと思う心がそそられる。ぜひご一読を。

どうであろうか。全国300の小選挙区で少なくとも1冊、安倍首相に対する「人格の発露」を集約した本を出版できないであろうか。葉書や葉書大の用紙に、1000人から書いてもらい(パソコンで打っても.「建設標」の500字程度は書ける)、それぞれから1000円を発行経費としていただくと100万円できる。B5頁一枚に4枚の葉書を載せると250頁となり、100万円あれば1000部程度は自費出版でき、全国会議員約700名に届けることも出来る。全国で30万人が参加、300冊が出版されるビッグイベントになる。

人格を発露していただいた皆さんは.これを契機にたくましくもなり、本を読む若者を含む同胞をも励ますに違いない。各地で行なわれる多種多彩な取り組みのなかで.この課題を必ず追求するようにできれば最高である。

沖縄に続け! 諏訪地域ぐるみの会 結成へ

●沖縄で、辺野古新基地拒否「島ぐるみ会議」が、7月27日に保革を超えた文字通り島ぐるみ各界2000名の参加で結成され、大いに気炎を上げています。

●これに続けとばかりに、人口20万・6市町村からなる長野県諏訪地域において、保革を超えた「地域ぐるみの会」を8月28日に結成しようとスケールの大きな取り組みが開始されています。名付けて、

閣議決定の白紙撤回・立法化阻止=日本の尾根から平和を呼びかける諏訪地域ぐるみの会(仮称)

略称・愛称「地域ぐるみの会」

●すでに保革を超えた46名による呼びかけが、1200の団体個人に発送され、28日の結成総会後、諏訪地域の小学校と同じ30回程度の地域懇談会を実現させながら、12月7日(日)の太平洋戦争開戦前日に、史上最大規模となる1000名集会をやり抜き、来春の関連立法制定断固阻止をめざすという壮大な展望です。

◆◆◆

新聞記事・呼びかけ文・返信用紙などを準備していますのでご覧下さい。諏訪地域以外の方々からの賛同もお待ちしています。

http://mouri-m.mo-blog.jp/blog/2014/08/post_d5d6.html

 

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