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【NPJ通信・連載記事】高田健の憲法問題国会ウォッチング/高田 健

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集団的自衛権行使の合憲化による憲法破壊を阻止しよう

2014年5月7日

 今回の参院選でも改憲問題の争点化を回避せざるを得なかったように、安倍首相らが昨年の衆院選以来とりわけ強調してきた 「96条先行改憲」 による明文改憲路線は、 運動と世論の抵抗の前に事実上破綻した。しかし、安倍首相は参院で与党の安定多数を確保し、次の本格的な国政選挙まで3年という期間を得て、 連立与党の公明党を引きつけながら態勢をととのえて、改めて改憲の 「歴史的な使命」 に取り組もうとしている。

まず安倍首相が取り組もうとしているのが解釈改憲や立法による改憲状態づくり(立法改憲)による実質的な改憲状態づくりだ。 これによって自民党の改憲草案がめざす国作りを進めたいと考えている。 10月半ばから始まる臨時国会と、2014年冒頭からの通常国会がその攻防戦の第1ラウンドとなる。

安倍首相は念願の 「集団的自衛権行使の合憲化」 をめざして、 手始めにその障害のひとつであった内閣法制局を屈服させるため山本庸幸前長官を異例のクーデター的手段を行使して事実上更迭させ、 容認派の小松一郎を据えた。これによって安倍首相は臨時国会での集団的自衛権行使の合憲の政府答弁を担保し、 また次期通常国会での 「国家安全保障基本法」 の閣法による上程や自衛隊法の改定もふくめた立法改憲を企てている。

一方、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」(座長=柳井俊二・元駐米大使)を再開し、 11月下旬か12月初めには当初めざした 「4類型」 の部分的合憲答申にとどまらない集団的自衛権行使の全面的合憲論に基づく 「報告書」 を提出させようとしている。

あわせて国家安保戦略の年内策定をめざし、中長期国家目標を策定しながら、 この下で秋の臨時国会で 「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」 を成立させ、 内閣法改正案(内閣官房に100人規模の国家安全保障局の設置)なども策定しようとしている。 このため特定秘密保全法案の国会審議を切り分け、この通常国会への先送りを企てている。

すでに7月26日に中間報告が出ているが、防衛大綱の改定も年内に断行し、新防衛大綱では策源地(敵基地)攻撃能力保有、 海兵隊的機能の保有等が予定されている。また秋には日米2+2会議もが始まり、新日米ガイドライン策定が着手されることになっている。

こうした解釈改憲、立法改憲をすすめつつ、国会の憲法審査会は明文改憲の布石として 「3つの宿題」 で頓挫している改憲手続き法の改定、 選挙権や民法などと切り離した18歳国民投票権の実現が企てられている。 このなかで自民党改憲推進本部の船田元・本部長代行がいうような、 公明党などに配慮した 「環境権」 など 「抵抗感が少ない条文からの改憲の予行演習」 などという明文改憲の道も語られている。

これらの実質的な改憲の動きは自民党改憲草案がめざす 「国防軍」 で 「戦争をする国」 への道であり、 閣僚・国会議員の靖国神社大量参拝と秋季例大祭での首相参拝も検討されるなど、 この社会で顕在化しつつある偏狭なナショナリズムを煽り立てることで、東アジアの人びとの警戒心を呼び起こし、いたずらに軍事的緊張を高めている。

世論では依然として改憲容認は少数派であり、また国会でも参議院では明文改憲派は3分の2に達していないとはいえ、 「加憲」 派の公明党を加えれば両院共に96条が規定する改憲発議要件を持っており、いま憲法は成立以来の危機に立っているのは間違いない。

この秋、可能な限りの手段を尽くして民衆運動を強化し、集団的自衛権行使の合憲化による憲法第9条破壊の着手を阻止しなくてはならない。 いまこそ、この国の民衆の改憲反対・平和運動の真価が問われているときだ。

(「私と憲法」 148号所収)

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