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【NPJ通信・連載記事】高田健の憲法問題国会ウォッチング/高田 健

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185臨時・186通常国会で、安倍政権による 「積極的平和主義」= 「戦争する国づくり」 めざした戦争法体系化を阻む課題の重大性

2014年5月7日

「戦後レジーム」 の突破としての 「戦争をする国」
安倍政権が企てている究極の解釈改憲である集団的自衛権の行使容認と、明文改憲の策動の目的は、私たちがくり返し指摘してきたように、 日本国憲法のもとで 「戦争ができない、戦争をしない」 とされてきた国家体制(安倍のいう 「戦後レジーム」)の突破であり、 米国と共に 「戦争をする国」 への飛躍にある。

しかし、安倍首相が企てるこの 「歴史的使命」 の達成は容易ではない。15年戦争の敗戦から68年にわたって、 とりわけ日本国憲法とその平和主義をはじめとする3原則の下で、その具体化のために闘い、 積み重ねてきた民衆の運動とそれによって作られてきた民意は大きな障害になっている。 「9条改憲」 を掲げた第一次安倍内閣の破綻ははっきりとこのことを物語っている。 政権に返り咲いた安倍晋三はこの障害の突破のために、当初は極右政党の日本維新の会などとの連携を模索し、憲法96条先行改憲を企て、宣伝した。 しかし、総選挙で96条改憲をねらう改憲3派(自民、維新、みんな)で3分の2議席の確保というもくろみが破綻すると、 安倍首相は自公連立政権の維持と解釈改憲による集団的自衛権の行使を可能にする道の模索を始めた。 安倍首相はその一つの障害であった内閣法制局長官の首をすげ替えるという異例の強引な政治手法をとるなど、 当面の政治戦略の目標を明文改憲から集団的自衛権の憲法解釈の変更(解釈改憲)に置いた。

このために 「国家安全保障基本法」 を制定し、このもとで、自衛権に関する憲法のしばりを解き、 歴代政権の確認を覆して集団的自衛権行使の合憲化を確認しようとしている。 安倍政権はこの国家安保基本法を公明党の説得を経て、来年の第186通常国会に上程しようとしている。 そしてこの基本法の制定を待たずに、「戦争する国」 の国家体制としては、その司令塔・国家安全保障会議(日本版NSC)を作り、 そのもとでの総合戦略としての国家安全保障戦略(NSS)を策定しようとしている。 185臨時国会に提出されようとしている特定秘密保護法案や国家安全保障会議関連法案はその先取り的具体化である。

安倍政権はこうした国家体制作りを具体化しながら、自衛隊と日米安保体制を 「戦争する国」 の軍隊と軍事同盟へと変質させようとしている。 政府は 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使、座長代理・北岡伸一国際大学長) の集団的自衛権行使に関する解釈変更などの答申や、「安全保障と防衛協力に関する懇談会」(座長・北岡伸一)によるNSSの原案の提言などをもとに、 年内に新防衛大綱を閣議決定し、またすでに開始した日米安保ガイドラインの見直しに向けた2+2の協議を経て、 新ガイドラインを来年中に策定することなどが計画されている。 これによって自衛隊は、従来の 「専守防衛」 の自衛隊から、海兵隊的機能や敵基地攻撃能力の保持など、 文字通り海外で(宇宙においてまで)米軍と共に戦争をする自衛隊への変容した体制が作られることになる。

これらの動きはまさに9条破りの戦争法体系づくりとその下で海外での戦争を可能にする安保・自衛隊への変容である。

突破口としての秘密保護法と国家安全保障会議設置法
先の衆院選と参院選で安倍政権は安定多数を確保したものの、それは自公連立政権の維持が前提である。 自民党にとって政権を維持するうえで公明党の果たす役割は重大であり、不可欠の条件である。このことが安倍政権のアキレス腱になっている。 改憲も、集団的自衛権の解釈変更も公明党の承認なしには不可能になっている。 そのため安倍自民党は消費税でも、特定秘密保護法でも最大限公明党に配慮した演出が不可欠になる。 集団的自衛権に関する解釈変更に疑念を表明する公明党に配慮して、国家安全保障基本法の閣議決定と国会上程を先延ばししたり、 首相が予定していた臨時国会での集団的自衛権講師容認の発言を控えたり、首相の秋季例大祭における靖国参拝の見送りなどもこの側面の要因がある。 安倍首相は隠忍自重して連立与党の公明党の軟化工作に時を費やす策にでている。

経済関連や安保関連で重要法案が山積し、それらのほとんどが民意を具体的に問うていないにもかかわらず、 驚くべきことに185臨時国会はわずかに50日あまりである。安倍内閣は、このなかで、特定秘密保護法や国家安全保障会議設置関連法、 そしてあわよくば改憲手続き法改定案など、超重要法案を片づけることをねらっている。 しばしばかたられることであるが、政府やメディアは先の2つの国政選挙で衆参のねじれが解消したといっているが、改憲や集団的自衛権行使、 原発の保持と再稼働などでは、永田町と民意の大きなねじれが厳然として存在するし、 TPPや消費税などでも政府の政策と民意との間には大きな隔たりがある。 だからこそ、安倍内閣は議会の多数にまかせて、短期間での重要法案の強行をねらっている。

広範に共同して、戦争法阻止の世論を形成しよう
これを阻止する力は民意の発露、世論の力にある。私たちは可能な限りの手段を駆使して、世論に働きかける必要がある。 公明党・民主党などをも含めた国会の諸政党へのロビーイングなどによる働きかけもそのための時間の獲得のために重要なことである。

人びとの危機感を反映して、目下、特定秘密保護法に反対する運動は急速に高まりを見せている。 10月15日の国会開会日には秘密保護法などに反対する院内集会が3つ連続で開催された。 憲法・メディア法関係の奥平康弘東京大名誉教授をはじめ、山内敏弘一橋大名誉教授、田島泰彦上智大教授らの秘密保護法反対の声明も発表された。 10月29日には平和フォーラムと市民による集会と国会請願デモが予定されている。 集団的自衛権行使に反対する運動も、15日の院内集会や5・3実行委員会の署名運動、11・3憲法集会、「九条の会」 のアピール、 17日の立憲フォーラムによる柳沢協二氏を招いた院内集会など、さまざまに多様な形態でとりくまれている。

この戦後の平和憲法体制の試練のときにあたり、私たちはいまこそ可能な限りの広範な共同を組織し、全国各地で行動を広げ、 世論に働きかけて、安倍内閣の企てを阻まなくてはならない。困難だがその可能性はあり、私たちには希望がある。

(「私と憲法」 150号所収 高田健)

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