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メディアの使命とIOC改革

寄稿:西村 修一(馬術家・エッセイスト)

2017年7月19日

(一)メディアの使命

1、日本のメディアが全世界の国際機関に真のスポーツとはどういうものか、ということを知ら
 しめる必要がある。その上でオリンピックは絶対に「スポーツの祭典」ではなく、世界平和
 のための祭典であり、したがって競技スポーツの世界一を決めるのはオリンピックではな
 く、世界選手権であることを徹底して報道する必要がある。

2、スポーツの語源は「すべてを忘れて熱中する」ということで、あくまで自己満足の世界で、
 技を競う競技スポーツとはまったく別物であることを徹底すること。

3、スポーツと競技スポーツ、体育、保健体育、リクレーションを正しく理解し、報道するこ
 と。

4、今後のオリンピックは古代オリンピックおよびクーベルタンの理想とした真の平和のための
 祭典にすべきであることを、あらゆる機会を利用して報道すること。クーベルタンは「オリ
 ンピックで大切なことは勝つことではなく、世界の平和に貢献するためオリンピックに参加
 することである」「人生で最も重要なことは、相手を征服することでなく、正しく奮闘する
 ことである」と言っている。
  そして、現代のオリンピックを悲観して、「もしも再びこの世に生まれたら、私は自分の
 作ってきたものを全部壊してしまうだろう」と言った言葉を、全世界のスポーツ関係者に再
 認識させて、今後のオリンピックの進むべき方向、スポーツの祭典から平和の祭典にすべき
 ことを提案し、平和の大切さを強調すること。

5、世界平和の尊さを事あるたびに報道すること。
〇平和のための戦いという名目からは決して平和は訪れない。
〇怨みは怨みによって果たされず、忍を行(ぎょう)じてのみ怨みを解くことを得(法句経第五)。
〇世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない(宮沢賢治)。
〇昭和63年夏、比叡山で世界平和宗教サミットが開催された。その折の「平和の祈り」
 「叫びが祈りでないごとく、沈黙も祈りではありません
 祈りとは 祈り念じ願い信ずること
 それは必ず正しい行いとなって動き出します
 総ての人々が心の奥底で祈り念じ
 願い求めているものは 平和、平和、世界の平和です
 世界で一番大きな祈りは 世界平和という祈りでございます」
〇かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心
 ひろく ひろく もっとひろく これが般若心経の「空」の心
〇産地限定の宗教は平和と逆行する

6、スポーツ選手に「目標は東京五輪で金メダル」と云わせない、又報道しない。
 全世界の平和に貢献できると思われるもの、それは真の宗教、真の芸術、そして真のスポーツである。このことをもってオリンピックを真の平和の祭典にすべく全力で支援願いたい。

 
(二)IOC改革

1、IOCは大宗教団体でなければならない。その御本尊は「世界平和」。オリンピックが「平和
 の祭典」であることを全世界に向かって宣言すること。

2、現在のオリンピック憲章の「スポーツを通して」を「スポーツ、芸術を通して」、「スポー
 ツ文化を通して」を「スポーツ、芸術を通して」と、芸術の文言を挿入すること。

3、オリンピック期間中の休戦を全世界に向けて発信のこと(2000年設立の国際オリンピック休
 戦財団の出番)。

4、オリンピックの金、銀、銅のメダルおよび表彰式廃止。

5、オリンピックでの国旗の掲揚、国歌の斉唱の廃止(4および5の項目は1963年IOCの総会で議
 題となったが否決)。

6、オリンピックは絶対に世界一を決めるスポーツのイベントではないことを全世界に向けて発
 信のこと。

 現在のIOCはスポーツの理解者のみの個人的国際的社交クラブ。したがってスポーツ以外の要素の介入を防ぐことができた。五輪憲章の精神も比較的守られてきた。しかし近年、特に国威発揚、経済効果等、ナショナリズムがスポーツを引きずりまわす傾向が増大してきた。
 今や、IOC委員は貴族的特権階級的クラブ組織となり、巨額の放映権料や入場料収入を得ようとメディアや政治家を利用して経済的効果等の片棒を担ぎ、さらにうまい汁を吸うようになった。
 五輪開催地の決定をめぐるIOC委員の裏金疑惑はIOCが任意団体である関係上、法的規制は不可能、IOCはどのような国内組織(国内法)や国際組織(国際法)からも独立した国際的任意団体であるし、法人ではなく、唯のスポーツ好きな人々が国境を越えて集まっただけの個人的国際的社交クラブにすぎない。

 
IOC委員115人の構成

オリンピック選手の中から選出のアスリート 15人

各種NGOから選ばれた           15人

各種スポーツ国際競技連盟から       15人

どこにも属さないエリート         70人

 
(例)ヨルダン フセイン王子、王女(ドバイ王妃)

デンマーク フレデリック王太子。カタール サーン首長。

サウジアラビア サラード王子。クウェート サバーハ王子。

イギリス アン王女。リヒテンシュタイン ノラ王女等々。

 
 要するに、IOC委員の大多数(60.9%)はどこにも属さないエリートであり、オリンピック・ムーブメント(行動活動)やIOC会長に対する責任を負わない人たちである。さらに、それらの任期は8年で自分の意志で再任可能。年齢は70歳まで。また、ある委員はソチオリンピックの際、「若者に関心の高い競技でテレビの視聴率を高めるのが我々の使命である」と発言している。

 IOCには若者のオリンピック離れに危機感を抱き、野球、ソフトボール、空手、スケートボード、サーフィン、スポーツクライミング、バスケットボール3人制、自転車のBMX、フリースタイルを追加、これら総て集客率、放映料増収が目的である。

 

(三)テレビ放映権料、スポンサー企業の協賛金の行方

 放映料および協賛金は回を重ねるごとに増加しているが、IOCと各国組織委員会の取り分の割合は次のごとくなっている。

IOC 組織委員会
1968年 メキシコ 4% 96% 980万ドル
1984年 ロス 10% 90% 2億8700万ドル
1992年 バルセロナ 33% 67% 6億3610万ドル
2004年 アテネ 40% 60% 14億9000万ドル
2008年 北京 51% 49% 17億4000万ドル

 

 IOCにとってオリンピックは金儲けのためのイベント以外の何ものでもない。

 IOCは現在の委員構成を

 スポーツ関連 1/3

 芸術関連   1/3

 宗教関係   1/3 ← 平和の祭典を目指すとすること

 (当然、日本もとりあえず日本体育芸術協会と戦前の姿に戻す必要あり)

 その上で、IOCは国連、ジャイカ、ユネスコ及びバチカン等の主要宗教団体と緊密な連携を保ち、世界平和の祭典づくりに全力を尽くすことが急務である。

                                        以上

 

参考
「オリンピック経済幻想論」アンドリュー・ジンバリスト著
「大島鎌吉の東京オリンピック」岡 邦行著

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